1人と1匹の日常
2004年06月26日(土)  乗車試験
補助犬法案が施行される前の頃のお話。
りんくうと一緒に生活する前に、乗車試験といって、介助犬と共に電車に乗れるかのテストを受けた。
乗車試験は、一社ごとに行われ、実際にりんくうと電車に乗って、電車会社の試験官の方から、様々なチェックを受ける。

食べ物に、関心を示さないか?の拒食のテスト。
足を踏まれても、鳴いたり、飛び跳ねたりしないか?のテスト。
転がってきた缶やボールに、反応しないかの?テスト。
などなど。

実際に、電車に乗っていて、不特定多数のお客様との同乗の中、想定されることについて、多方面からテストが行われる。
一緒の時間、電車内におられるお客様に、ご迷惑がかからないように・・・という前提の試験だ。

パンを鼻先にくっつけられたりんくうは、顔を横にそむけジッとしていた。
「どうぞ、食べてもいいよ。」と言われても、食べちゃあいけない。
足を踏んずけられても、「ワン!(痛いじゃない!)」と言えないのだから、これじゃあ人間不信になんないだろか・・・と、ちょっぴり心配にもなったのです・・・。

りんくうは、この難しい試験にも、頑張ってクリアーして、我が家での生活がスタートした。
あの時の、ドキドキ・・・の緊張と、「がんばれ。」って気持ちは、忘れることはない。
きっと、りんくうも、同じ気持ち・・・だったよね?

先日、スーパーにて、ママの不注意もあり、レジの横から伸びていたりんくうのながーい尻尾に、ニョキっと一本の人間の足が・・・。
「あぁ・・・介助犬ちゃんがいたんだ。知らなくて、ごめんなさい・・・。」
と、りんくうに頭まで下げて謝って下さった、一人のお客様。
「いいですよ、気にしないでね。」と、にこやかに笑っているりんくうのように、見えたママなのでした。

補助犬法案が施行された後、認定法人の試験にクリアーした介助犬は、乗車試験の必要はなく、交通機関を介助犬同伴で利用できるようになりました。

働くワンコ達の頑張りが、人間のやさしい理解に、少しずつ・・・、つながるといいなぁと、ちょっぴり思っています。
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