ラヴ*パスポート



葉月アキラ、自由に生きてきた。色んな恋を、した。
やっと腹を括ったその先は、長男の、嫁。
騙したり騙されたりの日々から抜け出したワタシだけれど、果たして頑張れるのか?

結婚5年目に入った2013年12月、不妊治療の末、娘を授かりました。

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2007年09月20日(木)  ©  他人から見れば、身勝手、でも彼にとっては都合の良い、女。


ホステスを始める前にワタシは、とある企業に派遣で入っていた。
そして其の時同じチームに所属していて、仲良くしていた社員さんが居た。
唯一アドレスと電話番号を交換していて、会社を辞めた後も途切れない程度に連絡があった。
ヒナと別れた時も、其の人有坂さんは、人伝にワタシが彼氏と別れた事を聞いて連絡をくれた。

ふとした時に、ワタシの存在を忘れないで、頭の片隅に置いてくれている彼にワタシは、甘えたくなった。

”あぁりぃさぁかぁさぁあぁん
 捨てられたぁー、遊びに連れてって。”

短く送ったメールに有坂さんは、素早く返信をくれた。

”愛してますっ。
 って〜か、今日仕事帰りに電話していいか?”

残念ながら、彼の其の日の終業時刻では
ワタシはお仕事、真っ最中なので、連絡を取り合う事は出来ない。

”休みはいつや?”とか”デートしよう。”等の
短いメールのやり取りが、2日に渡り小さく続いた。

本当なら、直ぐに会う段取りがつく筈だったけれど
彼は明後日から数日、海外に行くので、帰国後に遊びに行く事に、なった。

誰かに甘えなければ、立って居られない
今の状況に1人では耐えられ、ない。
ワタシは、いつからこんなに弱く、脆くなって居たのだろう。

甘えさせてくれる人なら、ホステスをしている以上、其れなりに居る
しかし其れは”ホステスの晃”と出会い、少なからず好意を持ってくれている人達。
でも今のワタシが求めるのは、1人の女の子”葉月晃”として接してくれる人
普通の女子として、ワタシを見てくれる人、だった。

そして、仕事がいつもより早く終わった今日、帰り道に純とラーメン屋さんに寄った。


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彼から圭ちゃん、圭ちゃんから純、そして純からワタシへ
全ての内容が行き渡っていると、彼も解っている、筈。

なのに、如何して?
ワタシの様子を知りたかった?何処まで知っているのか探りたかった、の?

午前1時半の出来事、此の時間に携帯がなるのは彼が酔っている、証拠。
暫く、震えが止まらなかった。

1人になって、電話をした
数回、行き違いになって、やっと繋がった着信。

彼の声はやっぱり酔っていて、やっぱり話している事がよく、解らなかった。


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そう聞いたら『頑張ってみる。』と言った。
結局寝ちゃってたんだけれど、ね。

意味が判らない
酔っている時に鳴る、携帯。
セックスをする訳でも無いのに会おうとする、理由。

会っても、朝7時前には起きなくちゃいけないから、来てもすぐ寝るのに。

只の、きまぐれ
たまたまワタシに向いた、気分。

理由を付けようと思えば、何だって出来るけれど。
でもこんな状況、なのに?
ワタシは圭ちゃん経由で貴方の真意を知っている、のに?

あの人は、明日になっても覚えているだろうか?
ワタシに電話して来た事、を。

あの人の中でのワタシは、今も変わらず”都合の良い女”なのだろう。
酔って寂しくなったり、甘えたくなった時に一緒に居られる
そんな
都合の良い、女。




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