「翼」
ずっと 欲しかったのは翼
まっ白な大きな翼
その国へ飛んでいくための
寒い夜には翼にくるまり眠る 雨の日には翼を大きく広げ
わたしは旅を続ける
ずっと 欲しかったのは翼
夢見るようにただ願った
その国が何処にあるのか
知らなかったけれど 知らなくてもかまわなかった
わたしは旅立ちたかった
ただ
わたしは わたしの翼で
空を飛びたかった
*
「街」
霧深い小雨の中を歩いていた 人を捜しながら
それは いつか逢った人 顔も名前も忘れてしまったけど
逢えばきっとわかる 魂の片割れ
どこか懐かしい街 薄暗い小雨の降り続く その人と逢った街
その人に逢いたかったのか その街に戻りたかったのか
今では わからなくなってしまったけど
わたしは捜し続けた まるで それが当然のことのように
その人に逢った街 その人と過ごした街 小雨の降り止まない街 いつも泣いている街
捜してもその人のいるはずのない
想い出だけの 二度と行けるはずのない
あの
街
*
「天気予報」
天気予報は はずれてばかりだ
暗いところ苦手だったはずなのに いつの間にか夜道を歩くのが好きになってた
ひとりになるのが怖かったはずなのに ぼんやり夢想するひとりの時間に安らぐ
無くしたものと手に入れたもの
良いとか悪いとかじゃなくて 変わっていったもの
自分の行く先を 予想できなくなっていったのは いつからだったろう
雨が降ってるよ 激しく
ねぇ 明日は晴れるんだろうか?
*
「どんぐり拾い」
昔 子供の頃 大好きで 何個も何個も拾った
あの家の前の大きなどんぐりの木
缶かんいっぱいになってもまだ 拾い集めて
つやつやの焦げ茶色 帽子の付いたのや まあるいの 細めなの
ただ嬉しかった ただ楽しかった トテモシアワセナジカン
もうあの木は無い あの場所も あの季節も
ただ時間を止めたまま 心の此処にひっそりと
もうあの少女はいない 何処にもいない
わたしは
たったひとつのどんぐりが
今 こんなに欲しい
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ゆうなぎ
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