山田浅右衛門斬日譚
同じように生まれても 何の罪とがもないのに殺されてしまう者 そして殺人を犯してしまう者 さらにその罪人を斬首する家柄に生まれついている者
山田家に生まれた以上、家業としての罪人の斬首はさけては通れない ゆえに、その日斬首される人数の蝋燭をたてて、法華経を唱える そして、罪人がこの世に恨みをのこさないように脳裏で涅槃経の四句偈を唱えながら浄土へいけるように願うのだ
「諸行無常」を唱えて人差し指に力を込め 次に「是正滅法」で中指に つづいて「生滅滅巳」で薬指 そして「寂滅為楽」で小指に力を込める
作者は剣道の心得があるようで、剣を振りかざしたときの描写が細かいけれど斬首されたあとの描写はやはり眼を覆いたい いつものように題名にひかれて読んだ本だけれど、微妙な気持ちでいる 主人公の達観したような気持ちに救われる思いはあるけれど、改めて罪を犯してしまう者の哀れが思われてならない 所詮、人間とは弱いものなのだろう・・・
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