| 2011年12月02日(金) |
たまゆら あさのあつこ |
「離さない。絶対に離さない。もう二度と、行かせたりしない」ここから人の世が尽き、山が始まる。そんな境界の家に暮らす老夫婦の元へ、一人の娘が辿り着いた。山に消えた少年を追っていると言う。しかし山はそう簡単には、人を受け入れない。人でなくていいのなら、越えてしまえ-。狂おしいほどの想いにとらわれ、呼ばれるように山へ入った人々の赦しと救いを描く慟哭の物語。(「BOOK」データベースより)
辞書によると ”たまゆら” とは 少しの間。ほんのしばらくとある。 作者がタイトルに ”たまゆら” とつけた理由を私は知りたい。 この作者は山が好きなのか、山に魅入られたのか。 とてつもなく暗い夜のしじまの中にいるが、それでも針の穴のような灯かりだけは見えている・・・ただそこへ行き着くには。。。 私はそんなイメージをこの作者に持っている。
どんなにたくさんの言葉を連ねても、千言万語をを重ねても、心の内を語らなければ本当にしゃべったことにはならない。
人は山と同じほどに深くて、暗くて、底がなくて、わたしなどには、全てを見通すなど、とうていできないのです。
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