慈雨の日記

2005年10月04日(火) ケンジ・ミヤザワ




この前、教育テレビを偶然見ていて、「お話のくに」というのを
やっていた。童話くらいの長さの本を俳優さんたちが朗読していく
というだけではあるものの、非常に趣のある番組。
その割りに、最近はトント見ることがなくなっていた。

先日偶然見たのは宮沢賢治の「どんぐりと山猫」。

その前偶然に図書館で借りた「今子供に読ませたい本」の巻末に
「今、子供に読ませたいものとして作品を選ぶにあたって、
古典的なものは宮沢賢治くらいしか残らないのだが・・・」
というようなくだりがあって、
なるほど、宮沢賢治の書いたものは古くならないと痛感したばかりだった。

なくなった私の祖父は、わけあってほとんど会うこともなかったのだが、たまにうちに来てくれるとき必ず本を買ってきてくれた。
本の後ろに私の名前と、贈った自分の名前を青の万年筆で書いてあるので
もらった記憶がないものも、祖父がくれたものと分かるのだ。
一番記憶に残っているのは「星の王子様」。
私の大好きな本だ。
それ以外には、宮沢賢治の本が多い。
実は、わたしは賢治に惹かれることがその当時なかったため、
どの本も、途中で投げ出して読みきっていない。

今になって、祖父のラインナップを眺めると
いかに祖父がロマンチックで優しい人だったのかと感じる。
そして、星の王子様にしても、賢治にしても
決して古くならない「ほんもの」の何かのカケラを
私に贈ってくれたのだと感じるのだ。

そんな感傷的な気分に浸りながら、
先日図書館で宮沢賢治の「注文の多い料理店」を借りてきた。
今年の秋は、宮沢賢治にどっぷりと浸りながら、
秋の夜空を眺めたいと思っている。


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慈雨

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