* たいよう暦*
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フェリーで旅立つ人のお見送りに行ってきました。 船での旅立ちのお見送りをするのは、初めて。 短い別れ・・・・ではなく、一年半という長期の別れのお見送りも・・・・初めて。
一年半のながーい旅に旅立つ、ふたり。 会うと、ぴりっとした顔になっていました。 ほんわりが抜けて、ほどよい緊張感のある、顔。 日本で日常生活をする顔ではなく、これから自己責任で動いていく、自分達の旅に出かける、顔。 いい顔、でした。
彼らのかたわらで忠実な大型犬のように、大きな荷物が鎮座ましましていました。 とっても大きいなと最初は思ったけれど、でも、一年半で必要な荷物はこれだけなのかと思うと、なんだか不思議。 日常生活とは、なんといろいろなものに囲まれ彩られていることか・・・ 人間、そぎ落とすとこんなシンプルに生きていけるのか・・・ そぎ落とされた少数精鋭の荷物はクレーンで無造作に吊られ、人間より一足早くフェリーに乗せられました。
午前11時。 乗船時間になりました。
外国行きのフェリーの乗船は空港と一緒。、税関があり、パスポートの提示があり、出国手続きがあり・・・。 その入り口の先は、外国の入り口。 見送りの私たちが行けるのは、ここまでです。 あとは展望デッキからのみ。 フェリーのお見送り・・・というと、岸壁で紙テープのお見送りを想像してあこがれていたのになあ・・・。 紙テープはなし、岸壁にもいけません。 岸壁は、コンテナ貨物を積み込むリフトやトラックががんがん走っていて、行けるわけもないのだけれど、なんとなく、想像とちが〜う!とぶーたれながら、別れの余韻のない展望デッキで、船の出港準備を見守ります。
午前12時。 いよいよ、出発です。 ぼーーーーーっ。 想像していたよりも、小さな汽笛が、ひとつなりました。
「笑顔で見送りたい」 そう、思っていました。 一年半の旅に出る彼らを見て、さびしくなっちゃうかなあと思っていたけれど。 それよりもなによりも、旅の無事と、旅のしあわせをねがう気持ちで、自然といっぱいの笑顔で、見送ることができました。
「いってらっしゃ〜い!!」 二人合わせて叫んだ声は、船の音にかき消されることなく、二人に届いたみたいです。 「いってきま〜す!」 ながいながい旅に出る二人は、大きな声で答えてくれました。
大きな船が、消えて行くまで見送りました。 いってらっしゃい。 ・・・いってらっしゃ〜い! 旅の無事を、心から祈っています。
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