* たいよう暦*
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2004年06月08日(火) いってらっしゃい

フェリーで旅立つ人のお見送りに行ってきました。
船での旅立ちのお見送りをするのは、初めて。
短い別れ・・・・ではなく、一年半という長期の別れのお見送りも・・・・初めて。

一年半のながーい旅に旅立つ、ふたり。
会うと、ぴりっとした顔になっていました。
ほんわりが抜けて、ほどよい緊張感のある、顔。
日本で日常生活をする顔ではなく、これから自己責任で動いていく、自分達の旅に出かける、顔。
いい顔、でした。

彼らのかたわらで忠実な大型犬のように、大きな荷物が鎮座ましましていました。
とっても大きいなと最初は思ったけれど、でも、一年半で必要な荷物はこれだけなのかと思うと、なんだか不思議。
日常生活とは、なんといろいろなものに囲まれ彩られていることか・・・
人間、そぎ落とすとこんなシンプルに生きていけるのか・・・
そぎ落とされた少数精鋭の荷物はクレーンで無造作に吊られ、人間より一足早くフェリーに乗せられました。

午前11時。
乗船時間になりました。

外国行きのフェリーの乗船は空港と一緒。、税関があり、パスポートの提示があり、出国手続きがあり・・・。
その入り口の先は、外国の入り口。
見送りの私たちが行けるのは、ここまでです。
あとは展望デッキからのみ。
フェリーのお見送り・・・というと、岸壁で紙テープのお見送りを想像してあこがれていたのになあ・・・。
紙テープはなし、岸壁にもいけません。
岸壁は、コンテナ貨物を積み込むリフトやトラックががんがん走っていて、行けるわけもないのだけれど、なんとなく、想像とちが〜う!とぶーたれながら、別れの余韻のない展望デッキで、船の出港準備を見守ります。

午前12時。
いよいよ、出発です。
ぼーーーーーっ。
想像していたよりも、小さな汽笛が、ひとつなりました。

「笑顔で見送りたい」
そう、思っていました。
一年半の旅に出る彼らを見て、さびしくなっちゃうかなあと思っていたけれど。
それよりもなによりも、旅の無事と、旅のしあわせをねがう気持ちで、自然といっぱいの笑顔で、見送ることができました。

「いってらっしゃ〜い!!」
二人合わせて叫んだ声は、船の音にかき消されることなく、二人に届いたみたいです。
「いってきま〜す!」
ながいながい旅に出る二人は、大きな声で答えてくれました。

大きな船が、消えて行くまで見送りました。
いってらっしゃい。
・・・いってらっしゃ〜い!
旅の無事を、心から祈っています。


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