* たいよう暦*
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2004年06月23日(水)

実は、非常に前歯にコンプレックスを持っている。
形でいえば、タイルのように長方形で、横の歯に比べて、とりわけでかい。

乳歯の時は前歯に隙間があったせいで、どんなに歯磨きをがんばっても、必ず虫歯ができた。
その虫歯の茶色がイヤでイヤで、早く永久歯にはえかわらないものかと切望していた。
はじめて、歯茎にその先が見えた時には、よしよし、と期待をかけたものの、毎日のびるにしたがって、はっきり長方形となり、タイル歯だとわかると、ひどく落ち込んだりもした。
「うさぎみたいで、かわいいよ」
小学校の時の友達はそう言った。
小学生の言葉って、真実をついて残酷な時がある。

数年前に、マウンテンバイクでみごとにすっころんだ。
顔からおちたせいで、左の前歯がかけ、そのとなりの歯もレントゲンではひびが入っていることがわかった。
「差し歯にしましょう。」
歯医者さんにそう言われた。
「一本8万5千円です」
今なら、「ひえーっ、たかっ☆」ぐらい言ったかもしれない。
しかし、冷静さを欠いていた私が気になったのは、値段よりもなによりも・・・
「先生、前歯の形ってかえられますか?」
わくわくわく。
期待にあふれて先生をみあげた。
「?」
「あの、もうちょっと、小さく、とか、もうちょっと、違う形とか」
「・・・・あのですね。
 差し歯というのは、今ある歯の場所に入るわけで、それより小さければ両脇があいてしまうわけです。」

「そして、形を変えるといってもねえ。右の前歯はその形なのだから左の前歯だけ違う形だとおかしいでしょう?」
・・・!!
そっ、そうなのかあ〜・・・がっくし。

今なら、わかる。
冷静になれば、そんなこと言われなくても、想像がつく。
しかし、私はその時思い切り期待してしまったのだ。

わー!痛い目みたけど、前歯の形がかわるかもしれんのかあ!
わはは。お金はいくらかかってもいいやー!えへへ。
「この前歯」じゃない自分を想像して、ちょっとうきうきしてしまっていたのだ。

そして、その時、差し歯は私の以前の前歯と同じ形に作られた。
当たり前だけど、ちょっとだけ残念だった。
でも、腕のいい先生とめぐりあったおかげで、なに不自由なく暮らしている。

「あっ。これっ・・・・!」
今日、歯磨きをしていて、大事な自分の方の右の前歯に、ちょこっと、ほんのちょこっと
茶色いものをみつけてしまった。
ひええええ。虫歯や、絶対。
はああああ。虫歯や。歯医者いかなくちゃ・・・。
前歯ととなりの歯のすきまにできる虫歯は、私のお得意とするところ。
歯並びの関係で、どんなに気をつけていても、いつのまにかできてしまう。

もちろん、差し歯の方の歯には、虫歯はできやしない。
同じ位置で、同じ場所で、同じ形で、私のために働いてくれている。

虫歯にならず、丈夫で、いい働き。
差し歯に感謝しなくちゃ、な。


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