きなこ日記
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あの日から一年が過ぎました。 地震の直後は、こんなに穏やかに1周年を迎えることができるとは思っても見ませんでした。地震の翌々日に実家に行ったとき、母が、私の大好きな銘柄のビールを差し出しました。その時、「飲むような気分じゃないし、安心して飲んで休める日がいつ来るかわからない…」と答えて、私はビールを受け取ろうとしませんでした。しかし、母は、「いつか飲める日が来る」といって押し付けたのです。家族の中で、一番の被災者は母でした。経営していた店は津波で流され、実家は取り壊されて跡形もありません。海のそばに育ち、海の幸を商っていた母にとって、海とはどういうものなのか、いつか聞いてみたい気持ちもします。
私個人としては、トラウマと言うほどでもありませんが、地鳴りや家鳴りが怖くて、不意に身をすくめることがあります。家の近くを大型トラックなどが通ると、ゴーッと言う低いエンジン音が地鳴りに聞こえて体が硬くなります。風が強いとき、家がミシッときしむと、前触れなしに地震が来たのかと、びくっとからだが反応します。今も、朝まで熟睡することはないです。 赤色灯をつけている緊急車両が通ると、強く緊張します。それがたとえ、交通違反の取り締まりのパトカーが「前の車止まりなさい」なんて言いながらのことでも、なにか原発に非常事態が起きたのではないかと思ってしまうのです。 それでも、我が家に暮らせているだけで幸せです。
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