心のガーデンは修羅ですよね。
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2005年07月12日(火) ●金糸雀 (高杉×山崎小話 ※暗い)



 金糸雀


 脇に抱えていた羅紗の風呂敷をぺろりとめくって、高杉は笑った。

 「これ。いいだろ?」

 山崎の頭が包まっていた。

 すっかり血の気を失ったその顔には傷んだ様子もなく、むしろその青白さが、
 かつて彼が持ち合わせていた穏やかさ、控えめな気質、
 そんなものを際立たせているようですらあった。

 銀時は、しばらく「それ」を見つめたまま、高杉と対峙していた。

 「お前・・・」

 この場で、何を言えばいいのか。
 自分は今、何を感じているというのか。
 衝撃的な光景を前に、あるものは一体何だ。

 驚きか。
 いや、こうなることはいくつかの想像の一つだった。可能性などとっくに。

 悲しみか。
 山崎に対して? いや、悲しみなど、今は感じていない。それは確かだ。

 怒りか。
 それは何に対して?失われた一つの人生について?

 「身体はどうした」

 結局、そんな言葉が出た。

 自分と高杉の間には、言うべきことなど何もない。
 言ったところで伝わらない。
 この男には聞こえない。
 この世の何もかもに、いつの間にか別れを告げたのだから。

 「こいつの仲間に返してやったのさ。何か残らなきゃ葬式もあげられねぇだろ」

 高杉は続けた。

 「俺はこれだけあればいい」

 そうしてめくった布を元に戻すと、一度だけそれを撫でた。

 「もう、行け」

 山崎の身体が真選組に戻っているならば、それだけで誰の仕業なのか
 奴らにはわかる。
 時間を置かずに、サイレンを鳴らした車が大江戸中を走り回るだろう。

 「そしてもう二度と」
 「いや、また来るぜ」

 遮るように高杉が言った。

 「ここにはよう、ぶっ壊してぇもんが山ほどあるからな」

 二人の間に何があったか知らない。
 どんな言葉を交わし、どんな夜を過ごし、どんな目で相手を映したのかさえ。

 山崎にしか分からなかったものが、もうしばらくこの男を生かすだろうか。
 だとすれば、それはもう二度と自分に関わることを許さない領分のものだ。
 銀時はそう思った。

 もう一度高杉を見遣ると、その目はどうやら笑っているらしかった。

 「お前、ほんとにきりがねぇのな」

 「あぁ、ねえな」

 別れの言葉もなく、きびすを返した高杉の夕陽に染められた背中が
 小さくなって、やがて見えなくなった。



                            
                             了






 □■□


 高杉×山崎で。

 いろいろあった二人ですが、最後はこうなりました、ってな話。
 (その「いろいろ」をちゃんと書きなさいよ!)

 頭部とか、そういう描写は、この時勢どうかなぁと、思ったのですが・・・。
 小野塚カホリの『LOGOS』を読み返してたんです、という言い訳をします、 ハイ。

 ちょっと前に浮かんだカップリング。マイナー系「高杉×山崎」・・・。

 これを始まりに置いて話を書くなら、【高杉(山崎)←土方←銀さん】
 みたいなシロモノになるんじゃないかなぁ。

 すぐに書くとは言えないけども、いつか書きたい。(自己満☆)
 銀土とか土高じゃなくて、どこまでも高山で

 土高(高土)とかも読むので、「土高(高土)なんてありえない!」とは
 思わないですが、自分で土方や高杉がどういう人間なのかを捏造すると、
 この二人、どうしたって水と油。

 山崎を間に挟んじゃったらなおこじれますよ。
 そんなだから高杉に関わって山崎が死んだ、なんてことになったら
 土方さんもう大変です。弔い合戦!!!

 山崎を殺したのは本当に高杉なのか・・・みたいな視点で銀さんを入れたい。


 ▼▲▼

 本当は、もっとヤオイヤオイした感じのが書きたいんです。
 なんでこうなるんだ・・・書けるまで書くしかない。
 それもまた楽し。


 あとがき、長い。



  

 


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