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ウソツキ


アタシ、は。
ウソツキ。
ウソの上にウソを重ねて、綻び歪むとまたウソを流し込む。
ジブンジシンでさえ。
どれが偽りのないジブンなのか。
わからなくなる。
アタシのまわりの。
誰もが声を荒げないよう。
あっちこっちでイイ顔をして。
ウソとウソで偽物の和やかさを醸し出す。
それは。
幼い頃からずっと。
いびつな家族の中、末っ子として。
アタシがピエロを演じなくては崩壊してしまう、と。
アタシだけが焦ってきたから。
本当は。
そんなこと、関係なかったのに……。


故郷の、ハハとを繋ぐ携帯の、電源は落としたまま。
家電も。
リコンと同時に解約してしまった。
あまりにも連絡がナイので。
心配したハハが。
オネエチャンのところへ相談し、そして手紙が届いた。
ハハは。
アタシの病気を知らない。
ましてや間近に迫ったイノチの時間が。
もしかして、年老いたハハよりも短いだなんて。
オニイチャンとオネエチャンは知っているので。
アタシが連絡を入れない理由を理解してくれている。
けれど。
たまには連絡してあげてよ、と。
頼まれたらそれは。
頑張らないとイケないし。
またウソウソウソの連続になる。
呑気で陽気で元気で、そそっかしくて明るくて。
そんな末っ子を演じなくてはイケない。
そうやって。
アタシはどんどんすり切れていく。
感じ。


もちろん家族は。
アタシの病気を知っているけれど。
でも。
全部を伝えているワケじゃない。
手術も全て、ひとりで決めた。
肝心なところを、ウソで塗り上げて。
でもそれが。
一番みんなを哀しませているのだと。
もし、家族がアタシのようだったのなら。
どれだけ傷つくか、
恐ろしい……。


たまに。
アタシは違うんだよ、と。
叫びたくなることがある。
元気なんてナイ、余裕なんてナイ、明るいヒトでもナイ。
けれどきっと。
この先もずっと。
ウソの糸で路を編みながら。
途切れるまで歩いて行くんだろうな。


2009年10月29日(木)




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