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探せない半分のルーツ


おさるが英語の参考書を買いに行くと言うので。
アタシも。
パンでも買いに行こうかと、一緒にブラブラ。
駅隣のデパートには「書籍館」なるものがあって。
階ごとに分かれ大量の本。
本当は趣味の本の階へ行きたかったのだけれど。
ここでおさると別れたら絶対に。
ケータイがあってもホント。
会えない(って思うほど広い!)と思ったので。
おとなしく、おさるの目当ての参考書階へ。
同じ階なら迷うこともないと。
おさるは英語の参考書を探し。
アタシはぶらぶらと他の本を見ていて。
あ、そういえば。
少し時間ができたなら。
ハングル語を勉強しようと思ってたんだっけ、と。
ハングル語の参考書が置いてあるコーナーへ。
今。
韓流ブームということで。
とっても沢山のハングル語参考書。
本当に初心者向けから沢山ある。
アタシは韓流ファンではないけれど。
今までは。
どちらかと言えば嫌韓に近い感情を持っていたのだけれど。
それは大嫌いだった父親の母国だからで。
ずっとずっと大嫌いだ、と。
思い込んでいた父親を。
実は愛していたのだと気づいた今。
アタシの躰の中。
半分は流れる父の母国。
アタシの知らないルーツ。
死ぬ前に一度は探しに行こうと。
そんな計画で。
ハングル語を勉強しようと思ったワケです。


日本と彼の地には。
いろいろな問題がある。
良いことも悪いことも。
見えないハードル。
とても高い。
アタシがその血を受けていると知ったのは小学生の時。
友達だと思っていた子の親から石を投げられて。
初めて知ったジブンの出生。
その頃は生きていた父も、そして母も。
決して教えなかった事実を。
意外なことから知ってしまったアタシ。
以来、頑なに。
アタシは日本人だと言い聞かせてきたけれど。
先の見えてきた今。
半分のアタシの祖国、そして父の母国を。
この目で確かめてみたい。
ふたつの国。
どうかハードルを乗り越えて。
良い関係になって欲しい。


いろいろな思いで参考書を眺めていたら。
いつの間にか隣におさる。
ハングル語、勉強するの? と聞くので。
今はまだ時間がないけれど、近いうちには、ね。
とアタシ。
そうしたらおさるが。
アンタが本格的に勉強を始めることにしたら、参考書を一冊買ってあげるよ、だって!
素直に、ありがとう。
いつかきっと。
もうひとつの祖国。
確かめに行ってみるからね。

2011年08月22日(月)




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