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2006年05月16日(火) 一番見せたくなかったもの

彼と会っているときは泣きたくなかった。
なんだか、いかにもっていう感じで
いい年して涙なんか流すのどうよ?って思って。

会っている時には
笑顔の私でいたかったし
彼が思う私の顔は、いつもおだやかな私であってほしかったから。


…うまく言えないけれど、
たぶん、全部見せてしまったら
だめだっていう気がしてたのかもしれない。



思うところがいろいろあって。
彼の妻の話もいろいろ聞いて。
わたしはすこしだけいつもと違って

それでも元気にしていたかったし
笑顔でいたかったし


いつもはずしているリングをたまたまつけていた夜。
そのたまたまの日に彼に会って。
私は途中で気付き、でもどうしようもなく
外そうと指はさまようけれど
そんなときに限ってなかなか外れない。


大好きだよ、楓。

なんどもなんどもいつも以上に言う彼も
きっとその存在を重く感じているはずで


たぶんお互いに同じような気持ちでいて。

彼の妻のお話。
わたしの、リング。


いつもなら、いこっか、とすぐに立てる私だけど
彼に抱きついたまましばらく離れられずに

気が付いたら、
涙の雫が彼の服に落ちていた。


ごめん、と言いながらそれでも涙が止まらない私を
彼はただ、髪を撫でながらじっと抱き寄せてくれていて
ぎゅっとではなく、そぉっと、そぉっと。


ごめんね、こんなとこ見せちゃって。
もう一度言った私に
彼は何度もキスをした。


何度も、何度も。


彼のシャツについた私の涙のあとと
私の髪の毛。

帰るまでには落ちてしまうだろうけれど。



わたしは不器用だから
本当に向いていないんだろうと思う。
おそらく彼も、きっとそう。



それでも。

きっと何かが起きない限り
私たちはこのまま続いてゆくのだろうと思う。



どうして出会ってしまったのかな。


もっと違う形で会いたかった。
好きになっちゃいけないとブレーキがかけられるときに
会いたかった。



菜々 |MAILPhoto


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