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2009年09月27日(日) |
鮮やかに染まったあの日の夕焼け |
もう数年前になる。 わたしは彼と旅に出ていた。
夢のような日々と、夢のような風景。
いろいろなものを見て、 いろいろなものを食べて、 いろいろなところに出かけた。
その中でもひときわ、今も脳裏に焼きついているのは
頭上に広がった真っ青な空。 それが西の方から、少しずつ色を変えてゆく風景。 最初は淡くほんのりと、 次第に強くなる、茜に染まる空。
脇に聳える山肌を紅く照らし ますます強くなる紅。
夢中でシャッターを切るけれど あまりの美しさとすごさに手が震えて 目に映ったほどの写真にはとてもならない。
藍色が少しずつ色を強めて 紅の空はその色を弱めていく。
「・・・すごいね」 「本当に・・・すごい」
心の底から感動しているのに、言葉にしてしまうと陳腐で 二人して放心したように同じことを言っていたように記憶している。
やがて空には星々が輝きはじめ、 紅の空はその影をどこにも残さずに、藍色に染まった。
わたしたちは寒くなり始めた真夏の山で 寄り添っていつまでも空を眺めていた。
あの日の風景は、 これまで生きてきた中で最も美しい色だった。
彼とまたあの風景を見ることができれば、と思う。 いつかまた、あの地に行くことはできるだろうか。
菜々
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