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2001年07月24日(火) 忘却





私と後輩のΗ男

その彼女Ι美

その友達のΜ子

この四人の

悲しい物語である



その日は三人でΜ子が一人で暮らしていた部屋の整理に来ていた

Μ子は不在のまま…

誰も一言も発する事もなく…

荷物をまとめてるとΗ男があるモノを手にして喋りだした

「アイツこんなもん持ってやがるよ!?」

スイッチを入れるとウ゛ィ〜ンと音を出して動きだすバイブ……

「これ凄えなぁ」

「Μ子、本当に寂しかったんだろうね…」

涙がこぼれ落ちた…







それより半年程前

当時

私とΗ男の努めてた店にΙ美がΜ子を連れてきたのが始まりだった

二人はウチの店のすぐ近くにあるスナックに努め仕事帰りに毎日の様に通っていた

Ι美はΗ男に会う為、Μ子は少しの間でも哀しい恋を忘れる為…


始めはΜ子のことが嫌いだった

まわりの事も考えず、ただ

「酒持ってこいオラァ〜」

などと叫びながら強い酒をストレートで…

そして泥酔…

いつものパターンだったから







ある日、Ι美にΜ子の話を聞かされた

「Μ子の彼氏には奥さんがいるの、凄い女好きだからΜ子以外にも女がいるみたいだし、あの娘二ヵ月前に堕ろしたのよ…でも好きなんだって…」

よくある話ではあるが…

何故、泥酔するまで酒を飲むのか、少しわかった…

Μ子は一度も自分の口からその事だけは話そうとはしなかった

それからは奴等の泥酔にも楽しく付き合ってやれるようになっていた

朝までバカ騒ぎ

エロトーク爆発で毎日大笑いしていた







開店して二時間程過ぎた頃Η男が厨房に飛び込んできた

「Μ子の男が!?別の女連れてカウンターに来てるんスよ!?アイツ今のままじゃ可哀相ッスよ!?あんな男やめろって何回も言ったけどわかんねーから、なんとか俺、男にΜ子の事もう少しイイ感じに考えてもらえないか話そうと思うんスけど…」

たしかに今のままじゃ可哀相だ…

「ああ、そうだな」

そう答えていた

今思えばなんて余計な事をしてしまったんだと、くやしさが込み上げてくる…







女がトイレに立った時Η男が男に話し始めた

しばらくすると男が叫んでいた

「お前になんの関係があるんじゃボゲエッ」

Η男も熱くなっているのがわかる…

続けて男はΜ子の事で言ってはいけない言葉を吐いてしまった…

なぜか私も熱くなっていた

厨房を飛び出し男の顔面を蹴飛ばしていた

どーでもよかったがお客が間に入ってくれてその場はおさまり男は店を出ていった…

が…

私とΗ男はしばらく熱かった


その日はみんなで朝まで飲み明かした

太陽が黄色い…

それがΜ子と見た最後の朝日だった







数日後、Ι美から突然の悲報が告げられた



明け方、泥酔したまま一人車を運転中、電信柱に衝突



内蔵破裂で死亡…‥



即死…



う、うそだろ?



話を聞いた全員が、そう信じたかった…‥



浴びるように酒を飲み泣いた…‥








事故当日、Μ子とΙ美の努める店に男が来ていたらしい…‥

他の女を連れて…

Ι美は話し終えると泣き崩れた

怒りが込み上げてくるのがわかった

Ι美は泣きながら続けた

「私が勝手に好きなんだから私が我慢すればいーんだから…今日も飲んでやるんだから…」

と、Μ子が泣き出しそうな顔でムリに笑ってたと…

もう誰も涙をとめる事が出来なくなっていた







通夜には、はじめてみる親族や友人達が参列していた

順番に最後の別れを繰り返す

先ず私が対面する事にした

顔には傷一つ無く、まるで眠っているようだ…

涙はとまる様子がない…

続いてΗ男、Ι美の順番

「起きてよォ!?あああああああ」

泣き叫ぶ声だけが響く…


更に涙は溢れる







数日が過ぎて…

久しぶりにΙ美が店を訪れた

化粧をしてない素顔は目が腫れあがり少し疲れた様子だ

「今日はお願いがあってきたの。Μ子一人暮らしだったんだけど、御両親が部屋を引き払う前に、ほら、御両親に見せたら悲しむ物とかもあるしれないし、ねえ、私達で整理してあげない?」

「悲しむ物ねえ…」




〜Fin








あれから5年…

その間も色々あったがそれはまたの機会に…








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