幻の光、太陽の西、野井戸。
全ては私の中で一つにつながる。
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幻の光
貧しい漁村の猟師は、ある凪ぎの海の日に 海面に光る部分があることに気付く。
それを魚の群れだと思った猟師は舟を出すが、 その途端、瞬く間に海は荒れ、猟師は帰らぬ人となる。
また、仕事も順調で子どもも生まれたばかりの幸せなはずだった男は、 ある夜何かに誘われるかのように線路の上を黙々と歩き、 電車に撥ねられたて命を落とした。
老婆は語る。 「幻の光は、妖しげに人を引き付け、精を喰らう病に侵す」と。
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太陽の西
農夫は朝日が顔を出すと畑に出、太陽が真南まで上ると休憩し、 夕日が沈むと家へ帰るという生活を続けていた。
毎日毎日、ただひたすら同じ毎日を続けていた。
ある日の昼、農夫は持っていた農具を捨て、 太陽の西を目指して歩き出した。
その向こうに何かを求め、 ものにとり憑かれたかのように、 沈む太陽を追ってひたすら西へと歩いていった。
そして農夫は、いつしか力尽きて地面に倒れる。
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野井戸
草原と雑木林が広がる高原にある野井戸。
いつ作られたのか、誰が作ったのか、何もわからない。
存在を知らせる看板も柵もないその野井戸は、ただひたすらに深く、 一度落ちてしまうと孤独と共に死を待つほかない。
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小説を何度も読むうちに私の中に刷り込まれたイメージです。
原作と違う部分が多々あるかと思いますが、ご了承ください。
憂いの泉…それは私にとっての 幻の光であり、太陽の西であり、野井戸です。
今日、彼女と話をした。
利己的で、家にお金を入れない旦那の機嫌を伺い、 おびえながら暮らす今の生活は限界だと、 思いのたけを告白してくれた。
そして私は憂いの泉の話をした。
分かり合える喜びを感じることはできたけれど、 野井戸の呼ぶ声が遠ざかった気はしない。
明日、会社に行けるかな…。
ちょっと不安。
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