玄関の前でセミが仰向けになって死んでいた。 その横にはダイビングメッセージと思しき消しゴムが落ちていた。
これは、殺人事件だ。 いや、被害者は人じゃないから 言い換えるならば、殺虫事件だ。
「ワトソン君、どう思いますかこの現場を見て」 (早くも妄想モード突入!)
『うむ、これらの現場検証と物的証拠からして自殺ではなく他殺だ』 「他殺ですか?なぜこのような目立つ場所で」 『犯人は計画的ではなく、とっさ的にセミを殺してしまったのだと私は推測する』 「では、このセミの横に置かれている消しゴムには犯人の手がかりとなる 重要なキーワードが隠されているのだと思うのですが、これについては?」 『いや、これは我々の捜査を妨害するために、わざと犯人が残していったものだ。 しかし、この消しゴムこそが犯人が人間であるといった動かぬ証拠なのだ』 「100歩譲って、犯人が人間であるとすれば殺意の動機は セミなんかを殺したところで何の利益も生まれないのでは? それに最近流行している“誰でもよかった”の無差別でもセミはないでしょう」 『殺す動機ならある、君は重要な点を見落としている 彼らセミは人間に対して常に事件を引き起しているではないか』 「事件ですか、セミは蚊や蜂と違って人を襲うようなことはないと思うのですが?」 『ちぃちぃ甘いな君は、それだからメタボなのだよ』 「メタボは事件となんら関係がないのでは?」 『ごほん!すまんすまん、彼らセミは暑い夏をさらに暑くするといった鳴き声がある そのせいで騒音事件が後をたたないのだよ』 「なるほど、確かに彼らの鳴き声はうるさくて耳につきます」 『おそらく犯人はあまりの騒音に眠れず、ついかっとなって殺してしまった』 「では犯人は、まさか!」 『そう犯人は・・・この家の者に違いない』
すると、死んでいたはずのセミが突然動き出し 「お前、他にすることがないのか暇人めがぁーー」 と言い残し、セミに鼻で僕を笑いつけて夏の空へと羽ばたいていった。 どうやら、セミは死んではいなかったようだ。 ただただ、夏の暑い日差しに打たれているうちに 眠気が襲ってきて眠り込んでしまったのだと僕は勝手ながら結論づけた。
あまりの暑さに意味プーな日記を書く 発想がサル以下の男。Gikuでした。
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