ギクの日記
ぼちぼち書いております
2008年12月24日(水)  終焉のエレジー

昔々ある都会に、ギクさんという人が住んでいた。
このギクさんは人の心配事や困った事を聞くと
それは結構なことだと答え
その理由を助言しては、たぶん皆を満足させたいという。

あるクリスマスイブのこと、都会に住む男達は
何の予定も仕事もなく退屈していた。
3、4名の男達が集まり、
ギクさんの所に一度行かないかと言う話になり、早速ギクさんの家へ行った。
世間話をしているうちに1人が 「ギクさん、こんなクリスマスイブの夜に
自分達も何もすることがないので暇や、何かいい考えはないかね」
と言ったところ、ギクさん曰く
「結構なことだ。こんな時こそ日頃できない事をやるんだ。
やることがなければ妄想をするんだ」 と言って皆を諭した。

「交際1年を迎えようとしている2人は
暖房の効いた暖かい部屋で今年のお互いを振り返りながら
甘いトークで盛り上がり、2人はさらにヒートアップ
暖房もいらないみたいな、その後2人は身も心も1つにみたいな」
ギクさんは相変わらずニコニコとした表情で話す。

それを見た男達はギクさんに詰め寄ってくると、ゆっくりとした口調で
「今年も1人寂しくメリークリスマス」 と言い捨て皆は帰っていった。

1人取り残されたギクは
ふと上を見上げると、そこには空も知らない雫が目から流れていた。


クリスマスイブにこんな日記を書くために
自室に閉じこもっていた事は、誰1人として知る由もなかった。


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