昔々ある都会に、ギクさんという人が住んでいた。 このギクさんは人の心配事や困った事を聞くと それは結構なことだと答え その理由を助言しては、たぶん皆を満足させたいという。
あるクリスマスイブのこと、都会に住む男達は 何の予定も仕事もなく退屈していた。 3、4名の男達が集まり、 ギクさんの所に一度行かないかと言う話になり、早速ギクさんの家へ行った。 世間話をしているうちに1人が 「ギクさん、こんなクリスマスイブの夜に 自分達も何もすることがないので暇や、何かいい考えはないかね」 と言ったところ、ギクさん曰く 「結構なことだ。こんな時こそ日頃できない事をやるんだ。 やることがなければ妄想をするんだ」 と言って皆を諭した。
「交際1年を迎えようとしている2人は 暖房の効いた暖かい部屋で今年のお互いを振り返りながら 甘いトークで盛り上がり、2人はさらにヒートアップ 暖房もいらないみたいな、その後2人は身も心も1つにみたいな」 ギクさんは相変わらずニコニコとした表情で話す。
それを見た男達はギクさんに詰め寄ってくると、ゆっくりとした口調で 「今年も1人寂しくメリークリスマス」 と言い捨て皆は帰っていった。
1人取り残されたギクは ふと上を見上げると、そこには空も知らない雫が目から流れていた。
クリスマスイブにこんな日記を書くために 自室に閉じこもっていた事は、誰1人として知る由もなかった。
|