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昨夜のこと、些細なこと。 たぶん、あたしの機嫌が悪かったせい。 別にほっとかれてもいいの。 少ししか会えなくてもいいの。 でも、あなたの顔を見ると、 見てしまうと、 あたしは思い通りにならないことに苛立つ。 会わなければいいんだ、なんて。 なんて、短慮なあたし。 言い合いをして、 顔も見ずに、 黙って帰り支度をして、 部屋の電気を消した。 あたしは。 あたしはただ、寝転がったまま。 毛布を握りしめたまま。 それを止めるための手段を必死に考えていた。 あたしが投げる言葉はナイフ。 あなたの痛い場所を、的確に狙う。 ここに留めるため。 あたしを見て欲しいだけ。 どんなに我が儘を言っても。 立ち去らないでいてもらうため。 あたしは、卑怯だ。 でも、答えが返ってくるまでの沈黙は、 息も出来ないほどの苦痛。 このまま、何も言わずに立ち去ってしまったならば、 あたしは自分で自分の息の根を止めるようなものなのに、 優しい手段が選べない。 あなたは静かにあたしを責めて。 あたしは吐き捨てるように言葉を返す。 あたしは、あなたの、枷になる。 こんな風に誤魔化し合うこと。 これで、何度目だろう。
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