2002年4月27日。
あの日からもう4年。 今日は、 あたしと彼の記念日だった。
こんな結末になるなんて、 思わなかったよね。
あの日は土曜日で。 前の日は新歓があった。
その一週間前に出会ったあたしたち。
あたしは一目惚れだったよね。 もちろん顔が好みだったのもあった。 中学のときにちょっと好きだった子に似てた。 歌もうまかったし、 背も高くなくて、可愛い感じがした。
そして彼は、 笑顔に憂いを含んでいた。
その日から、 目が離せなかったよ。 ほっとけなかったよ。
後に彼の過去を打ち明けられた。 繋いだ手を、より強く握ってしまった。 「決して離さない」と心に誓いながら。
彼のために、 いい女でいなくてはいけなかった。 家族の役目をしなくてはやらなかった。
それでも幸せだった。
だって、あたしが彼を独りにしないって誓ったから。
飲み会の帰り、 駅で待ち合わせして告られて、 彼の家に行った。
酔った勢いから始まったけど、 あたしたちは、 本気で愛し合ってた。
あの日、 あたしがあんなに酔っ払わなければ、 付き合うことにならなかったのかもね。
でも幸せだったのよ?
その5ヵ月後に、 あんなにあたしを変えてしまう出来事があるなんて思わずに、 ただただ、 幸せを感じた。
出会わなければ良かったの?
何度思ったことだろう。 何度自分の記憶から、彼のことを消そうとしただろう。 何度自殺未遂を繰り返しただろう。
完全には、どれも無理だった。 心の中で、否定し切れなかった。
後悔してる? ホントはそうかもしれない。 でも、彼のことを忘れるということは、 大切なあのコのことすらなかったことにするということ。 そんな無責任こと、出来ない。 出来ないし、したくない。
彼は今日を思い出したりはしないだろう。 いつもの通り電車に乗って出勤して、 そろそろお昼休憩を迎えるだろう。 そして自分の家に帰る。
別れた男との記念日を、 こんなに女々しく思ってるなんて 彼にとっては不愉快だよね。
でも、あたしにとってあなただけなの。
こんなにあたしの心を縛り付けて、 いまだにあたしを苦しめる。
苦しめてたのはあたしかな。 お互い様かな。
彼は今独りじゃない。 ちゃんと家族がいる。 良かったね。 あたしには出来なかったから、 これからの幸せを祈ることが あたしに残された役目かもしれない。
あれから4年。 少しはキレイになったでしょ? 少しはオトナになったでしょ?
後悔するのは、 次はあなたの番よ。
この4年間を清算できたら、 あたしも幸せになるからね。
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