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トライアングルバースデー April,10 2045 17:00 トッティの店 「今日は、オーナーの大切なお客様をお迎えしますので、みんな粗相のないようにね」 「はい」 「貸切の看板は出した?」 「ええ」 トッティの店では、開店前の朝礼が行われていた。 ホールスタッフのチーフらしき女性が、若い後輩達に指示を出している。 トッティは厨房の中にいる料理長に、コース料理の提供時間と内容の打ち合わせを行っていた。 「前菜の後は、デニッシュオープンサンドを出して」 「はい、ジパングでもサーモンや鰻も食べるらしいので、コースに入れました」 「ありがとう、気が利くわね。あと仔牛のカツレツも入れておいて」 「かしこまりました」 トッティは部屋のセッティグをしているスタッフにも声をかけた。 「ご苦労様」 「はい、スカンジナビアの国旗はどうしますか?」 「アタシの第二の故郷だから飾っておいて、あとジパングの旗はある?」 「ええ、マリーが昼間調達しています」 「さすが、マリーね」 壁に飾られた北欧の彫刻や、色鮮やかなフラッグが格調ある店の落ち着きと、 明暗のコントラストを奏でるかのように映えている。 「クロスは白のままでいいわ」 「はい」 「お花はカラフルなものにしておいて」 「はい」 「あと、絵画はシックなものに掛けかえておいてね」 「はい」 トッティは、矢継ぎ早に指示を出しながら、左腕の携帯端末でヴァレンの位置を確認した。 「随分とのんびり歩いているのね」 「さあ、みんな、お客様はあと5分でお見えになるから、手が空いた人はホールに並んで」 「はい」 「持ち場のそれぞれのチーフは、最終チェックをしてから並んでね」 「はい」 トッティは、再度厨房に戻り、料理長に確認をした。 料理長は笑顔で親指でOKのサインを出した。 部屋のセッティングを終えて出てきたマリーからもOKの確認が入った。 トッティ・ファンデンブルグ Totti Fandemblg 25歳。 シチリア生まれだか、両親の記憶はなく、物心ついたときからファンデンブルグ教会で育つ。 16歳の時に、北欧の飲食店経営のオーナー夫妻の養子となり、料理の腕を磨く。 22歳の時に、夫妻が亡くなると、プロイセンに北欧風飲食店を出店。その後タツミグループ入りを果たす。 身長175�僉‖僚�62�圈_搬押〔気� トッティは3年前、店を出す際に、タツミ財団の奨励金制度に申し込み出店企画が採用された。 日曜日ごとに、フォンデンブルグ教会を始め、孤児院経営をしている教会に無償で料理を提供。 その風評が地元の人たちの共感を呼び、店も大繁盛。 昨年、法人格に改変する際に発行済み株式の大半をタツミグループが引き受けることになり、 奨学金返済を株式売却という形で、借りていた奨励金をすべて完済した。 店で働いているスタッフ達は、孤児院でトッティの世話になった若者を中心に集まり、彼らからの信頼は厚い。 まもなく、店の扉が開くと、スタッフの人の輪をくぐり、円香、ヴァレン、そしてブラッドの姿が現れた。 歓迎用の花束をみなから手渡された円香は、花の香りに包まれながら、スタッフに労いの言葉を掛けながら店内を見渡した。 「噂に違わず、素敵なお店ね」 「ありがとうございます ボス。これもタツミ財団のお陰です」 「そういってくれると嬉しいけれど、トッティの企画が素晴らしかったのよ」 「光栄です、円香様。どうぞ、奥の部屋へ・・・」 正装をしたトッティの姿を見て、ヴァレンは柔らかい微笑を浮かべ、ブラッドは驚愕を浮かべている。 「なんだか、今夜のトッティはカッコいいな〜」 「うふふ、ありがとうブラッド。惚れてくれた?」 「う・・・いや、そういう意味じゃなくて・・・」 「きゃはは、さ、行きましょう」 ヴァレンはトッティとブラッドの真ん中に入り、彼らの両腕にそれぞれ腕を絡ませて歩き出した。 部屋に入ると長いテーブルの奥の上座に円香を座らせ、その両側にヴァレンとブラッドが座った。 「円香様、確か4月5日がお誕生日だと伺っております」 「ええ〜アタシと同じ誕生日だ」 ヴァレンが驚いたように円香に拍手を送る。 「本当?嬉しいわヴァレン、アタシの妹も4月5日生まれなの、まるで3姉妹ね」 「へ〜4月5日生まれの女性は、素敵な人ばかりなんだ・・・」 ブラッドが素朴に呟いた。 「本当ね。では、ゼクトで乾杯しましょう」 トッティが栓を開くと、勢いよくスパークリングワインの泡が吹き出し、 霧が舞い降りるように祝福の音色を奏でた。 |