歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年11月20日(木) 社会常識が欠落している医者について

昨日、インターネットでニュースを見ているとこのような記事が出ていました。以下その引用です。

読売新聞11月19日
麻生首相は19日午後、首相官邸で開かれた全国知事会議で、地方の医師確保策に関連し、「病院を経営しているから言うわけではないが、医師の確保は大変だ。もっとも社会的常識が、かなり欠落している人が多い。とにかくものすごく価値観が違う。そういう方をどうするか、という話を真剣にやらないと……」と述べた。
 首相がかつて中核企業の社長を務めた「麻生グループ」は、病院を経営している。
 首相はこの後、記者団に対し、自身の発言について、「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、申し訳ない」と陳謝した。
 首相の発言に対し、日本医師会の中川俊男常任理事は19日の記者会見で、「首相がそんなことを言うとは思えない。事実確認をしたい」と述べた。


社会的常識が一体何かということに関しては議論があるところだと思いますが、歯医者である僕から見て明らかに社会的常識に欠けると思われる医者がいることは事実です。医者だからいいのだが、他の仕事に就くことができないと思われる人が一定数いるのは事実です。
愚考するに、受験競争率の激しい医学部、医科大学に入学し6年間のカリキュラム、ならびに2年間研修医生活を終え、医者として仕事をしていると、自分たちは他の人たちよりも違うという選ばれた意識が出来てくることは不思議なことではありません。
また、患者さんの権利が叫ばれるようになった今でも、患者さんの治療を行うのは医者です。どうしても医者の立場、発言権は強いものがあります。そのため、上からモノを言う、上から目線になりがちです。
専門バカである医者がいるのも事実です。自分の本業である医業に集中するが余り、他のことに関心が無い、他のことに興味を持つ精神的余裕が無い医者がいるものです。そういった人たちの場合、社会的常識について話しても話が通じないことが多いのも事実でしょう。
僕自身、ある医者にかかった際、上から目線で言われたことは何度もあります。非常にしゃくにさわり、その医者に専門知識、専門用語を連発し、上から目線を変えさせたこともあるくらいです。さすがにこの時は、医者というのは社会的常識が欠落しているのか?と思ったものです。

しかしながら、全ての医者に社会的常識が欠落していると一くくりにしてしまうのはどうかと思うのです。多くの医者が社会的常識が欠落しているとは思えないのです。

そもそも、多くのという表現は非常に曖昧な、アバウトな使われ方をする言葉でもあります。よく、子供が周囲の友達が2〜3人だけ人気のあるおもちゃを持っているのを見て
「みんながおもちゃを持っているよ」
と言うことがありますが、実際に調べてみるとみんなが持っているわけではなかったことは、皆さんも経験があるのではないでしょうか?この“みんな”と同様、“多くの”にも同じニュアンスが含まれているものです。
おそらく麻生総理の周囲には何人かの社会的常識に欠落した医者がいたのでしょう。それは事実でしょうが、その何人かを“多く”と認識しているのであれば、大きな過ちだと思わざるをえません。もう少し、詳しく調べて頂いた上で発言して欲しいものです。

医者には社会的常識が欠落した人もいますし、非常に個性的な人もいます。ただ、これは他の職種の世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。どの会社、企業でもおかしな人っているものです。セクハラ、パワハラなんて言葉が流行しているのはその証拠です。これをもって会社、企業に勤める人が全て社会的常識に欠落しているとは言えないですよね。医者の場合も同じだと思うのです。


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