歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年03月26日(木) 発展途上国でも使えるモノは・・・

「先生、意外と知られていないので意外なのですけど、この歯科材料は優れモノだと思いますよ。」
発言の主はうちの歯科医院に出入りしている歯科材料店の担当者。
歯科医院には必ずといっていいほど歯科治療で用いる器具、材料などの注文を取りに来る歯科材料店があります。歯科医院によっては複数の歯科材料店が定期的にまわってきているくらいです。
うち歯科医院にも長年懇意にしている歯科材料店があるのですが、そこの担当者があるパンフレットを持って僕にある歯科材料のことを熱心に語っていたのです。
歯科材料店の担当者は、新製品の情報提供、PRをすることが多いのですが、今回この担当者が僕に勧めていたのは全くの新製品ではなく、どちらかといえば数年前に開発された代物。どうしてそのようなモノを勧めているのか?と尋ねたところ
「僕も知らなかったくらいあまり知られていなかった製品だったのです。いろいろと調べてみると、どうも海外で先行して販売されていたようなのです。」

担当者の話によれば、この製品は世界保健機関(WHO)の依頼により某歯科材料メーカーが開発したのだとか。日本のような先進国ではない開発途上国向けに使用できることをコンセプトに研究が行われたそうなのです。
日本をはじめとした先進国では歯科治療は歯科医院で行うのが普通です。専用の診療台、診療器具、歯科材料を用い、非常に細かい、正確な治療を行うことができるものです。
一方、発展途上国では先進国のような歯科医院は限られています。国によってはほとんど無い国もあるくらいです。このような発展途上国においてもむし歯はあるわけで、様々な社会インフラが整っていない環境でもむし歯の治療は必要です。そんな劣悪な環境でも使える歯科材料をWHOは求め、某歯科材料メーカーに開発を依頼したのだとか。その結果、世に出たのが担当者が勧める歯科材料だったのです。

この歯科材料の効能書きを見てみると、確かに非常な優れものであることがわかります。歯科材料を用いる場合、充分な乾燥状態でないと使用できないものがほとんどなのですが、この製品は少々唾液に歯が濡れていても接着が可能。しかも、周囲の気候、気温に左右されず常に同じ時間で固まる性質。

値段は若干高めではありましたが、このような優れた製品を使わない手はありません。劣悪な環境で使用に耐えうるなら、歯科医院のような設備が整った場所で治療に用いるならかなりの良い治療結果が得られるはず。強いては患者さんの利益にもつながります。

ということで、僕は早速この製品を注文しました。明日うちの歯科医院に届くはずです。一人でも多くの患者さんの治療に役立つことを願うのみです。


 < 前日  表紙  翌日 >







そうさん メールはこちらから 掲示板

My追加