カゼノトオリミチ
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2006年11月09日(木) 孔雀




熱がある

うとうと 眠りの波間をさ迷う

時おり、水面にぽかり 頭が出るので

辺りを見回す


薄紙を一枚ずつはがしてゆくように

場面は移ろい

どうにも居心地悪くて

何度目かの寝返りのとき ひらり横切った

青い孔雀の長い尻尾を掴んだ


空高く飛びあがり振り回されたあと

塀に止まる孔雀

必死の形相の私を見つけると

せせら笑うようにお尻を上下に振り

ふるい落とした


寝巻きのままゴロゴロと石とともに転げる


あぁ 薄紙がすべてはがれた時

私はまた孔雀の尻尾を掴んで

箱庭のような下界を

ゆがんだ顔で

みおろしているのだろうか










natu