カゼノトオリミチ
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新聞のひだりしたに
いじめに関するコラムが載っている
きのうも何気なく目を通していたら
閉じられていた 奥のほうの扉が
とつぜん 開いたらしくて
湿った木造校舎やら あの転校生のガラス玉のような
大きな瞳や 真っ白い頬 舌足らずなおしゃべりが
蘇ってきた
コラムを最後まで読んでわかった
コラムを書かれた方は「高 史明さん」
「ぼくは12歳」という詩集を出されたかた
「ぼくだけはぜったいにしなない」と
書かれた息子さんは 自分で命を断ちました
中学生だった私に この本を教えてくれたのは
私の持っていないものをすべて持っていた 転校生
聡明な彼女は いつも口の端で笑っていた
「ぜったいにしなない」と書いて
なぜ 命を絶ったのだろう?
その質問を 私は彼女にすることが出来ませんでした
それから ながい時を経て
きのう
「高 史明さん」のコラムを読みました
その答えを
教えてもらった気がしました
natu

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