―あぁ、どこに行ったのよ、アタシのシャープペン。
昨日、帰りがけに無くしたペン。 お揃いで購入したボールペンが、いつもより存在感を放っていた。 忙しいと思いながら、私は手を休めるたびに、席を立ちオフィスを眺め、 ペンが隠れていそうな隙間を見つけては、目を光らせた。
シャープペン不在のまま、一週間が終えてしまった。 私とともに戦う、戦友ともいえるシャープペン。
私は、迷わず、再び地元の商店街の文房具店へ向かった。 レジの横に置かれたボールペンとシャープペンのセット。
「すみません!シャープペンだけ分けてもらえます? シャープペンだけ無くしてしまって。」
自分でも驚くほど、惜しい顔をしながら、 入口ではたきを片手に、店じまいをする店主のおじさんに声をかけた。
「もちろん、いいですよ。」
知っていたけど、次に購入するのが、二本目であり、 それを至極気に入っているのを私は、強調したかった。他に理由はない。
―やっぱりこの書き心地、最高ね。さすがよ、アタシの相棒。
オフィスに入り、自分の席につくなり、私は青いチェックの紙袋から、 昨日購入したシャープペンを取り出した。 手から離れてしまった一代目に一瞥し、早速二代目を使い出す。
―このグリップ感が、たまらないのよ。 これじゃなきゃ、駄目ね。
二代目は、私の神経を通るべき道に真っ直ぐ走らせた。 長雨が続いた後の、すっかりと晴れた青空のような感覚が脳を駆け巡る。
―文房具ったって、馬鹿にできないわね、ほんと。
オフィス・レディたるもの、小物に手を抜いてはいけない。 できるだけ、可愛いものを、 思わず手に取ってしまいたくなるほど、 とびきり愛嬌のあるものを、 デスクに並べ、気持ちをコントロールするのだ。
―あぁ。アタシもすっかり、人並みのオフィス・レディね。
―やなこったっ。
|