☆空想代理日記☆
INDEX|past|will
「それは机上の空論だよ」
という言葉を相手に人差し指を向けて格好よく言いたい欲求にかられ、昨日はチャンスを窺っていた。
前述部分はまったくの嘘である。 昨日は、今月いっぱいまで使用することができる割引券を持っていたので映画館にでも行こうと思った。全裸にマントをまとい、王冠をかぶって行こうと思った。
しかし映画館にはたくさんの危険がひそんでいる。暗闇の密室では何がおきても不思議ではないのだった。
不逞者がたまたま座った椅子の両サイドに女性が座るかもしれない。なぜ両サイドに、と訝しく不逞者は思うかもしれないが、緊張をまぎらわすためにたくさん喋りかけた。
が、相手が中国人という劇的な結末があるかもしれないのである。
ここでひとつ問題なのは、不逞者の言葉が理解できない人がなぜ映画を観にきたのかである。黒いにおいがする物品の取引を暗闇でおこなうためだったのだろうか。
唯一喋ることができる日本語が「お前を蝋人形にしてやろうか?」だったらどういう対応をすればよいのだろうか。
このようなことがいつ自分の身に降りかかるかわからないのである。
|