Skipper Johnの航海日誌

2007年09月16日(日) 純金の月餅は誰が食べる??

純金の月餅は誰が食べる??

純金の月餅がなんと31,568元(筆者註:金の重量は不明)。月餅型のクリスタルに金メダルのような純金が入っている。国が定める「月餅強制性国家基準」の規制対象外で、この純金月餅に対して賄賂性を感じる人や、奇をてらった金儲け主義のように感じる人などネガティブな受け止め方が多いようだ。
(9月12日付け 人民網)

戦略ポイント:「振り切ってしまう」潔い姿勢

今年は9月25日が中秋節です。上海市内も有名ホテルやレストラン、商店で月餅が並び始めました。ここ数年はハーゲンダッツの月餅アイスが人気です。月餅の原型は中国古代からあるそうで、「月餅」と名づけたのは唐の楊貴妃だという説もあるそうですが定かではありません。今のような餡を入れて焼いたおまんじゅうのようになったのは明代あたりだそうです。

中国の「月餅強制性国家基準」では月餅セットの過剰包装を制限する目的で制定されたそうで、月餅の包装コストが月餅自体の製造原価の25%を越えてはならない決まりがあります。また、別の高価なものを同じ月餅の箱の中に同梱するのも禁止だそうです。これには高価な賄賂を防ぐ意味合いも含まれています。

しかしこの記事の「月餅型の純金」は食品ではないのでこの基準の対象外とのこと。いろいろな規制の目をかいくぐった商品なのですね。月餅は人に贈るのが基本なので、月餅は贈り物の代名詞であり、黄金月餅は自らの蒐集品ではなく賄賂として送られるというイメージが一般の中国人にあるのでしょう。記事にも「次回の月餅強制性国家標準改正時には月餅の形状をして月餅と名づけられるもの、つまり黄金などを禁止すべき」と厳しい意見が出ていました。

黄金の月餅は若干やりすぎのような感じはしますが、アイデアを実行に移してしまうという点においては素晴らしいと思います。私は典型的なビビリなので、始める前に「失敗したらどうしよう?」とか「他人からどう思われるだろう?」と心配して結局踏み込まないことが多いです。ここ中国では、「思いついたらすぐ実現させてしまう」という現象をよく見かけます。この黄金月餅もその部類でしょう。

黄金月餅に限らず、行動するなら「振り切ってしまう」潔さが中国の社会にあふれています。後先のことは一旦横に置いて、商品に命を吹き込んで振り切ってしまう姿勢は、時に多く学ぶものがあると感じます。


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Skipper John