朝からそわそわ落ち着かない。
飛行機に2時間乗ったところにある街で。
あの街に通っていたのは数年前。
私はあの街に憧れ、恋焦がれた。
あの人とあの街を、同時に、同じくらい、大好きだった。
でも今は、嫌い。
だからこそ、愛おしい。
もしかしたら手に入らないと、
知っているからかもしれない。
天気の良い冬の朝。
i-podを聞きながら、自問自答してみる。
私は彼に受かって欲しいのか、それとも…。
答えはもう、出ているのに。
私が彼の不幸を願えるはずがないのだ。
もう駅に着いたかな?
転職希望先のビルの傍で、
緊張しながら、本を片手に、
コーヒーでも飲んでいるのかな?
転職試験は3回。
まだまだ始まったばかり。
今日中にはこの街に帰ってくるというのに、
なんだか心細いよ。
早く帰ってきて。
私を必要だって、私の傍が一番だって。
言ってよ、ねえ。
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