不用品 買取 家庭教師 celeste blue

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凧と糸

2009年08月26日(水)

眠れぬ夜を過ごしました。
20時前に布団に入り、21時過ぎには目が覚めてしまいました。
そしてそのまま午前3時過ぎまで、いろんなことに思いをめぐらせながら、起きていました。
やっと眠りにつけたと思ったら、もう朝5時。
朝食の時間です。

今日は、山頂を目指す組と、上高地に下山する組とで分かれます。
もちろん私は、山頂を目指す組。
手っ取り早く準備をして、あっさりと下山組と別れのあいさつをし、山頂へ向けて歩き始めました。

小さな雪渓をいくつか越えて、遠くからは直線に見えていたゆるやかな傾斜の登山道を登ります。
ザイテングラードと呼ばれる鉄ハシゴあり鎖ありのちょっと危険な岩尾根をいくつも越えていきます。
おそれていた場所だったけれど、リーダーの適切なアドバイスのおかげで、それほど恐怖を感じることなく歩くことができました。

最初の目標だった「穂高小屋」到着。
涸沢ヒュッテでもらったお弁当を半分だけ食べて、さて、頂上を目指します。
そして私の試練はノーマークだったこの先の岩場だったのでした。

最初の取っ付きから急な岩場をどんどん登ります。
高山病にかかってしまった仲間を気遣おうにも、自分のことで必死です。
リーダーは、私たち2人の世話を積極的にみてくれています。
さっきまで遠くにいた雲が、周囲に白いガスとなってたちこめてきています。
偽のピークをいくつか越えて、何度もうしろを振り返り、歩いてきた距離を確かめます。
確実に頂上に向かっているはず……、そう言い聞かせるように。

歩きながら息を整えながら、一歩、一歩、山頂へ向けて歩を進めます。
もうここまで来たら「引き返そう」なんていえません。
何があっても、山頂で3人で喜びを分かち合わなければいけません。

ふと、振り返るとさっきまでガスがかかっていた景色がどんどん、どんどん晴れていきます。
あ、空が見える……。
奇跡にも似た思いを感じながら、山頂へ着きました。

人はたくさんいたけれど、静かな山頂でした。
視界の端から端まで広がる山。
かつて登った燕(つばくろ)。そしていつか登りたい円錐形の常念、その隣の蝶ヶ岳。
槍の穂先に思いを馳せて、眼下に広がる谷とそして梓川の下流「徳沢」。

ここが、頂上、か……。
なんとなく、凧の糸がぷっつり切れたような気持ちになりました。
目標を見失ったような、そんな感覚。

………。
……………。

登りよりも下りのほうが大変でした。
コースタイムの倍ほどの時間をかけて下りました。
途中で食べたソフトクリームはおいしかったけれど、山小屋での生ビールは残してしまいました。

そして、今夜も私は眠れぬ夜を過ごすことになりました。
ぷっつり切れた凧の糸。
どっちが凧で、どっちが手元に残された糸なのか。

つれづれない今日一日の日記。
いろんなことがありすぎました。

おやすみ。


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celeste [MAIL] [アルバム「紺と碧」]

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