一日彼を独り占めしていたというのに、
いえ、独り占めしていたからこそ余計に
次の日も彼に会いたくなってしまう…。
しばらく会えない日が続けば
それにもまた慣れてしまう自分がいるのに、
今すぐに会いたいと思ってしまう自分が嫌です。
昨夜の楽しかった記憶がまだ鮮明に残っていたけれど、
会いたい気持ちが半分だけ見え隠れするようなメールを彼に送りました。
しばらくして、オフィスに向かう彼から携帯に電話がありました。
「どうしたの?」
朝から元気な声。
毎晩のように飲み歩いている人なのに、
彼は寝不足や二日酔いとは一切無縁の人です。
既に仕事モードに入っている彼に
昨日の恋愛モードを露にすることはためらわれました。
「ただ、会いたいと思ったから。」
月末に二日続けて会うことなど無理だと分かっている私。
新しい恋をしても学習出来ない幼稚な頭でそのまま口にしてしまう…。
「嬉しいよ。」
意外な言葉が返ってきました。
会えない日に恋人に会いたいと言われることは
男の人にとってはひどく面倒なことだと思っていたから。
「ほんと?」
「本当に決まってるだろ。^^
でも、今日は時間がないよ。
我慢しなさい。(笑)」
「な〜んだ、つまんない。」
「そりゃ、ないだろうが。
昨日会ったでしょ。」
少し憤慨して彼が言いました。
彼が憤慨するのも無理の無い話。
ランチも映画も露天風呂付きのホテルのお部屋も
居酒屋さんでのお酒と楽しいお喋りも、
昨日の楽しい一日は全て彼がセッティングしてくれたものだから。
昨日は一緒にいる時間が長かった分、
デート費用もいつもよりかかっているはずでした。
たとえ彼が経営者で私よりずっと年上だとしても、
何もかも支払ってもらうことは気が引けることでした。
夕食のお会計の時に、
「今日は映画代も払って頂いちゃったし…。」
と私がお財布を取り出すと、
多分、どんな形であれ、
私がデート費用の一部を負担することを彼は望まないでしょう。
私は日頃は感謝の気持ちと言葉を忘れずに、
何か特別な日にプレゼントという形でお返しすべきなのだと思いました。
「昨夜、あれから映画の夢を見た?^^」
電話で彼が尋ねました。
昨日二人で観た007の最新作があまりに面白かったから、
今夜は007の夢が見たいねと二人で話していたのでした。
「それが、ちっとも。
Tさんは?」
「俺は勿論、いつものように爆睡。(笑)」
話しているうちに彼がオフィスに着いたので、
私はそれ以上我侭は言わず、自分から電話を切りました。
会いたいという気持ちを伝えるだけなら
彼は喜んでくれるということが分かりました。
でも、会えなくてもそれ以上の我侭は言わない…
一つ前の恋の反省を私はどれだけこの恋に生かせるでしょうか。
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