心の中に暗い部屋と明るい部屋がある
思春期
ある種の嗅覚で選び取った本をむさぼり読んでいた
その本はお前には早すぎる そういって親が取り上げたりすることもあったが 読もうと思った本は必ず読んだ
その当時は、なぜこの本が必要なのか 言葉で説明することができなかった
本は二種類しかなかった
心の中の 暗い部屋で読む本と 明るい部屋で読む本である
新聞の日曜版のコラムで 澁澤龍彦の東西不思議物語だったか そんなタイトルの連載が始まったとき 何か枷のようなものが吹っ飛んで 暗い部屋で読む本について 後ろめたく思う必要はないと考えるようになった 干渉されたくなかったので 黙って読み続けた
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