悩みは人生を充実させる/文集「人生の時」

2014年03月16日(日) 8、生/辿りつく場所/しずかなうた

一、生

  季節はめぐり いつもそこにはさびしさがあった
  また春になって 若草の匂いは
  憂愁を運んだ
  また秋になって 枯れ葉の散りゆく音は
  悲愁を伝えた

  どうしてだろう

  夏にはかなしみの雨が降り
  冬にはさびしさの雪が積もる
  年が来るごとに 心の中に
  さびしさの層が重なる

  乾いた空と灰色の大地に
  必死になぜだか
  一本の木が立っている

二、辿(たど)り着く場所

  低き空をさまよう雲の群れを嘲笑し
  いつまでもその姿を映す高き空を望んだ

  切れ目なく 低き雲のように
  日々は流れてゆくが
  しずかに時が立ち止まるとき
  静寂のなかに真実をみる

三、しずかなうた

  そんなに美しい空でなく
  少し欠けた月といくつかの星
  今宵(こよい)は薄曇りらしい

  人生にはこれくらいの空がいい

  ぼんやりと何気なく過ごした時間
  そして何事もなく終わりを告げる
  ただ繰り返される人生

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