2004年07月11日(日)...夏祭り

 坂の上に在る鳥居まで延々と続く赤堤燈。其処は人通りの少し途絶える裏道で、ある筈のない郷愁がふと胸を過ぎる。途切れ途切れ、ぼんやりと聞こえてくる軽躁に何故だか既視感を憶えた。
 幼い頃。潜ったプールから見上げた水面の様な、きらきらとして騒がしい眩しさ。冷たさに阻まれて、ひとりという空間に閉じ込められる心許無さと、ふやけた身体で戯れ合う内にほんのり温く感じた水。
 幻想的という言葉がぴたりと当て嵌まって、飲んでもいないのに少しふらふらする。右手にぱしゃぱしゃとヨーヨーを遊ばせながら、幸福の眩暈がした。

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