2004年09月23日(木)...嘘を塗り込める
袈裟姿に出会したのは朝のことで、気付けば全部放り出して足は目的地を変え此処へ向かっていた。コンクリートの壁に凭れて如何して人並みのことが出来ないのだろうと考える。そして、いっそ我儘だと誰にも相手にされなくなって仕舞えばいいとも思った。
少し肌寒い風が前髪を攫って額を剥き出しにした。昨日のことを、今日のことを、ぽつぽつと湿った空に向かって話す。学校で過ごすよりも遥かに多くの時間が此処で費やされていたのだろう、余りにも長く続くそんな日常の所為で何時の間にか板に付いた1人2役が徐々に滲んでゆく。そうだね、うん、それで、そう相槌を打ってモノローグを促した。
雲が今にも雨を吐き出しそうで手を伸ばすと、指を擦り抜けて逃げる風と共に現実感がじわじわと奪われてゆく。此処で口遊むフレーズは何時も同じで、擦り切れた言葉は今もまたそっと吐息に雑ざった。