2005年11月10日(木)...通夜
鳴り響くクラクションが、叫びの様な気がした。幼さを拾い上げてくれる宛てがじわじわと歪んで、パンドラの最後の煌きが消える。植え込みの向こう側の黒い柵が、その発車と共に少し揺らいだのが解った。
しゃがみ込んだまま息を詰めて凝視していて、立ち上がった時に太腿を伝う水滴で初めて、制服の裾が煙草の吸殻に淀んだ水溜りに浸されていたことに気付く。生温い気持ち悪さが脳を直撃して、口に溜まった吐瀉物を飲み込むことも出来ずに排水溝に吐き出した。
ぼんやり発光する青色の看板に吸い込まれるように立ち寄ったローソンは酷く眩しくて、聳え立つペットボトルに戸惑う。レジで差し出したポカリスエットの甘さが喉を伝って、当たり前のことが当たり前にある倖せを思った。