2005年12月13日(火)...中学校
聞き慣れた教師の声を頭の片隅で思いながら、廊下越しに見える中庭の一際大きな銀杏の木に魅入って居た。
眼の前では遥か昔の西欧の出来事が淡々と綴られていて、机の上に開いた二色刷りの教科書には太枠で囲まれて書かれてあるナポレオン法典の文字。
眼を閉じると、教師の抑揚の無い声や生徒達のちょっとした耳打ちで水面はざわめき揺らいで、教室の様子が煩い程に伝わってくる。
そっと机に頬を寄せると酷くひんやりとしていて、音に身体が呑み込まれてゆくのが解った。机にへばり付いた半分の静が、耳から入る音に堪えかねて居場所を失い、徐々に侵食が増して、嘲笑われている様な気さえして頭の芯がじん、と熱くなった。