2006年02月02日(木)...アパート
呼び鈴を鳴らす勇気も出ずに、そっと耳を扉に押し付けてみた。ぞっとする冷たさを頬に感じて、引き剥がそうとする気持ちと、もっと強く押し付けようとする身体があやふやになって馴染んでゆく。 世界と自我の間に膜が出来て、鼓動を拡張した。廊下を照らし出す山吹色と緑色に、不意に振り返ってみても眼の前の街灯に蛾が1匹、静かに止まっているだけで、その何気ない光景にさえ増幅される心臓の音が、何かを訴えている。
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