2006年03月01日(水)...カウンター
人々が足早に通り過ぎて、其の平行な流れに少しだけ心臓の底がきゅん、となった。硝子を伝う水滴を指でそっと追いかけてみる。信号が赤になって、立ち止まる横顔に揺れる苛立ちと寒苦に、背筋がひやり、とした。
19時になるにはまだまだ時間があって、有り余った未定を埋める手立てに、窮策さえ思い付かずぼんやりと携帯電話を持て余している。
死んでくれればいいのに、そう話す先に眼を向けると、美しく装飾された指がグラスの縁をくるくるとなぞり、グロスでとろとろと光る唇が、言葉を続けていた。
自動ドアが開く度に聞こえる雨脚が耳に残って、吐き出した溜息を飲み込んでゆく。