2006年05月18日(木)...揺らぐ

 眼の前を音を上げて通過してゆく列車に、先刻の躊躇いを少し憎んだ。風圧に揺れる前髪に、握り締めていた手を開くと、掌の皮が三日月に捲れていた。くっきりと付いた爪の痕に滲む紫が戸惑いと安堵を運ぶ。

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