2009年04月10日(金)...虚空
床がちりちりと燃え揺らいでいる。歩く度に撓む廊下に、足元が覚束無い。カーペットに引火した炎が吐き出した靄が視界を包んで、焦点が定まらない。誰と話していても、徐々に輪郭がぼやけて、気付けばどろり、と溶け落ちてゆく。最早、誰か、が本当にひとなのかも疑わしく、誰も居ない気さえする。
光が飛び回る部屋で、何かをする気にもなれず、ただ時間を浪費していた。机は絶えず小刻みな振動を繰り返して、殴り書きの文字が浮かんでは消えてゆく。蛍光色に彩られた世界が、共有出来るものでないこと等、重々承知で、それでも、此の、ぐにゃぐにゃと沈む地面とちかちかと輝く霧に覆われた、幻想的な景色を隣で眺めてくれる宛てが欲しい。