2012年06月12日(火)...苛立つ

 沸々と蠢く感情に流されるままに、悪意が嗜虐心を揺さ振って、如何でも良い、が呪いの様に渦巻く。今にも喚き散らしたい様な衝動を抑えて、湯船に深く沈んだ。カチカチ、と云う音がくぐもって、其の鋭利さもを揺ら揺らと歪めている。
 溜息を吐き出す。ぴり、と甘い感覚が左腕を包み込んで、じんじんと痺れる。温水に漬された筈の左腕が寒さに怯えて、背筋がひやりとした。其処から入り込んだ何かが全身へと巡って、身体を鉛に変える。だるくて、起き上がること等出来ない。
 徐々に、溶け出す何かが自我をも曖昧にして、総てが其のたゆたう液体へと同化してゆく。瞼に映るオレンジの陽射しと、そよそよと頬を撫ぜる暖かな風。緩やかに開放された肢体が幸福に蕩ける。もう、此の侭どうか殺して。

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