ことばとこたまてばこ
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2006年02月25日(土) おこ られ たい の 



夢のすみっこでいみじく煙草をふかす未成年のオレの広大なる額を

ひとつの何気ない行動ですら節々にどこか人生の含蓄を滲ませた老人が

「おいたはだめでありんすよ」とか言って痛烈なしっぺしてもらえないものか、と

寂しい孤独なるグレートな少年は心中でめそめそと侘しい涙をたらしてる。



まったく、パンクじゃないわ。


2006年02月24日(金) 写真



おめえの夢見る乙女を接写。

おめえの持つ鮮血の美学を激写。

おめえに巣食う陽気な印度人を神真。


たとえ被写体がチャールズ・ブコウスキーでも、
年端満たぬ幼子でも、ひょっとこでも、石でも、
風景でも、血脈でも、ぬるぬるな軟体生物でも、
カエルでも、けだものでも、なんであろうとも!


2006年02月23日(木) いやらしいしゃれこうべ

煤けた地面にひとつ転がるしゃれこうべ。
その眼差しの向こうでぬらりと浮かぶ老婆。

はたしてその顔、

かっきりと鮮やかな恍惚の眼をたたえていたか?
一切の情感をも排斥した真摯な一文字を刻む唇だったか?
適度でも過剰でもない感情ばかり浮かべてきた皺のたるみを有していたか?
月光を存分に浴びた肌の艶をどこまでも保っていたか?


現世を照らす、あまねく光と影の洪水は理論を超越して、感覚をうるうると浮き足立たせる。
とてもたのしわ、とてもおもろいわ、とてもとても、ああ、とても、ああ、とても。
どうしようもないほど「とても」が全身より滲んで。




しゃれこうべは一度カラカランと笑ったきり、生命力に満ちた眼差しのまま黙して語らず。


2006年02月21日(火) けものさん遅刻ですよ

コーラの空き瓶がけものの手よりすべり落ちた。
破片は眼に見えぬほど細かく無数に散らばる。


孤独な観察眼を有するけものは、これは非常にいけないことだと恐れる。
しかし二重人格でもあるけものは、
形が潰れて崩れゆく様はとてつもなく欲情するわとも喜ぶ。

かがみこんで光る破片に手をさしだす。


けものの柔らかい指先に刺のようになった破片が鋭く突き刺さった。




白金の血がキリキリとしたたる。



しまった、見よ、時計は午前十一時七分を示している。


2006年02月20日(月) 眼鏡の少年

空高くより小石が落下
とてつもない速度の小石は風を切り裂く
更なる速度は光を遮る
白いまっぴるまの空に描かれる一文字の黒い傷


彼女のいた場所に立ちつくすメガネ少年
涙に濡れている眼を袖でぬぐいとる
そして しっかりと 眼鏡をかけた
キリキリと光る涙は服の繊維に黒く染みこんだ
毅然として頭上を仰ぐ

すると激烈な速度で落ちる小石が少年の眼鏡に直撃
ギヒーンと醜い唸り声を漏らして痛みにのたうちまわる少年

太陽がほんの目前にて煌煌と輝く様を眺めるようにとても怯えながら緩やかに眼を開ける



視界一杯は亀裂に咲き乱れて



少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 猛々しい煙突
少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 取り返しのつかぬ速度
少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 陰影の時限爆弾6万秒後
少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 瑞々しくも枯れゆく向日葵
少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 少年 ひょうきんなけだもの


2006年02月17日(金) 水子


あまい あまい ブランコのゆさぶり
あまい あまい 春の風かんじる
あまい あまい ちっちゃなおんなの子

わらう わらう めじり下がってる
わらう わらう まゆじり下がってる
わらう わらう いっぽん抜けてる前歯


眼を閉じたまま その姿 知らなければよいのだと
ざらざら と した 感触のカーテンを指でこすりあわせる。
めそめそするオノコをかたわらに 水道水をすする私
冷たく流れる血は青と黄色と土埃にまみれた色。

神がもたらす黄金色の日差しのもとで
黄金色に輝きながら泣いて笑ってる。


水の中 水の中 はだかでくるまれる
水の中 水の中 しゃばばばばばば ぱっぱばば
水の中 水の中 秩序の水の中 水の中

霧の中 霧の中 あの白い光の果て
霧の中 霧の中 不透明な不安と恐怖の具現化
霧の中 霧の中 それでもなんでか あの果てをと

それでもなんでか あの果てをと


あの果てをと




2006年02月03日(金) 乞食

ゆるしてください

赤い目 ひかってる

まだゆるてくれない

これが最後です

どうかゆるしてください

その拳銃で目をつぶして

クマのずきんをかぶって

熱湯をあびながら何度もおどるわ

ツツツツツ  ララルルル  ツッタラララ

タラタララララ ダララララ タッタダッ

きみに媚びながらワルツもおどるよ

ツツツツツツツツ ラーラーラララ

はがねの刃で一文字の愛をきざむよ

その目よりも真っ赤な

不細工なおとなりさんのあえぎ声を呑むよ

呑むからね さいていにさいあくなあえぎ声

あなたがどこにいるのかいまだにちっともぜんぜんまったく感じないけど

やむをえぬとどうかどうかほんとうにこのわたしをゆるしてください

これが最後 最後 最後

これが最後なんです


2006年02月02日(木) 水鏡

やわらかくてはげしくてどうしようもない口づけをかわしてる
空の向こうから届くあの光が君のピアスを鈍い銀色にぬらぬると濡らしてる
あまくてかなしくてばからしいすっぽんぽんぽぽぽって乱れてる毛


紙一枚隔てた隣


ないているのかわらっているのかわからない表情のまま
だらけきりながらも凍えて固まる血の匂い
20000ルクスの陽光がすみずみまでゆきとどいている部屋
静かに乱れながら漏れゆく喘鳴はまるで波の音そのものだった


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