 |
 |
■■■
■■
■ 除夜の鐘鳴り響く頃
冬の凍てつく風吹く海を過ぎ、大粒の雪舞う峠を越え、辿り着いたその場所には、やはり父はいませんでした。
暖房のきいた部屋で、家族が無言で食卓を囲んでいました。それぞれの事情を知る私は、結局何も言いだせずにいました。居合わせる者たちは、誰も目を合わせることなく、ずっとうつむいたまま。何も起こることなく、無為に時間だけが過ぎていきました。
夜も更けて、365日が終わりを告げる頃、遠くから微かに鐘の音が響いてきました。一年が終わり、新しい年を迎える瞬間が近づいていました。
その短い時間の中で、今年一年に起こった様々な出来事を思い返していました。うれしいこと、哀しいこと、楽しいこと、悔しいこと。
そして、これから起こる、いろいろな出来事について考えていました。沸き起こるのは、希望よりも失望。期待よりも不安。負の感情ばかりが、膨らんでいくのを感じます。
日に日に不安は大きくなるばかりです。
除夜の鐘、鳴り響く頃、ずっとそんなことを考えていました。
2005年12月31日(土)
|
|
 |