2011年04月30日(土) |
『エリザベス ゴールデン・エイジ』 |
『エリザベス ゴールデン・エイジ』Elizabeth: The Golden Age 2007年/英=仏=独 シェカール・カプール監督
この映画を見る一番の動機はケイト・ブランシェットだった。
さすが、職人肌で、いぶし銀的魅力的だった。上手い。
事前の内容確認で、衣装デザインがアカデミー賞を受賞したことを知ったが
なるほど、作品に調和した重厚で繊細で芸術的な衣装の数々だ。
だけど、この映画のポイントはそれらに限られる。
物語が薄い。キャラクターに今一歩深みを感じない。
ケイト・ブランシェット演じるエリザベス女王としての威厳、
女王として背負った宿命など、言わんとするところはわからないではないが
ただ、衣装や舞台は凝ったデザインだったという印象が勝つ。
ぐっと胸に響くシーンもなかった。
つくづく考えた。
どのような物語であろうと、ストーリーは登場人物のキャラクターを掘り下げ、
表現するツールに成り下がる存在であるべきなのだと。
2011年04月28日(木) |
『アウト・オブ・サイト』 |
『アウト・オブ・サイト』Out of Sight 1998年 スティーブン・ソダーバーグ監督
コワザの効いた台詞が面白くて次第に引き込まれていった。
ジョージ・クルーニーが良かったのは予想外だった。
スレッカラシたアウトローぶりとマイルドな人間味が魅力的。
思ったよか、微妙なキャラクターを演じられる俳優だったのだな。
銀行強盗を繰り返す男ジャックが脱獄途中、
連邦保安官のカレンと出会い恋におちる物語 とシンプルに表現できる。
しかし、ラストが尻すぼみになってエンディングを迎えてしまった印象だ。
ラストのおかげで、中盤までの比較的見ごたえがあった内容が
作品全体、パンチのない、締まりのない出来にしてしまった感じ。
イマイチ構成がどうなっているのか、何がわからないかもわかっていない
状態なので、再見して追記する。
『キンキーブーツ』 2005年/米=英 ジュリアン・ジャロルド監督
レビューを見て結構好評価が多くあったことが意外だった。
箸にも棒にもかからない類ではないかもしれないが
佳作の映画と思わなかったからだ。
この映画の「芯」がどこにあるのかよくわからない。
父親の後を継いで靴会社の社長になったチャーリーのストーリーと
ドラッグ・クイーン、ローラのストーリーが融合していない。
誰の物語なのか? 誰と誰の物語なのか?
中途半端な視点が複数存在して、それぞれがピンボケなペイ。
登場人物たちの行動のきっかけが胸に響いてこない。
チャーリーの婚約者や婚約者に取って代わる
ロマンス的サポートキャラクターのローレンらの
伏線などが、胸に響いてくるような機能をしていない。
つまり、全然登場人物のキャラクターの掘り下げがない。
ドラッグ・クイーンということで当然のように
『プリシラ』を思い出したが、『プリシラ』があまりにも秀作なので
この作品に対して『プリシラ』を思い出してしまうことすら抵抗を感じてしまった。
監督やライターはこの作品にどういう思いを持って製作したのか?
技術がどうのというより、思いの在り方が浅いんだと思う。
浅いのに深そうな格好がついてるから、拒否反応が起こってしまうのだと思う。
演出?構成?によってもっと良い作品になり得ると思う。
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