RMの日記 DiaryINDEX|will
学会でいろんな人と交わり、多いに刺激を受け、アイデアのヒントになることももらった。今回の二国間会議では共同研究の芽を作ることが目的。一人の技術、能力だけで大きな研究をするには限界があることは皆が感じている。その上での共同研究。共同研究をしかけるにも依頼されるにもネタ、技術が要る。ネタを持ち、しかもコミュニケーション能力の高い人たちが共同研究を始めた傾向があるように思えた。自分自身はまだネタを提供するところまでいかず、もどかしいまま。人に気が遣えて、人の持っている技術を吸収する能力が有り、人の研究の利点をすばやく理解する能力が有り、自分の研究の重要性を訴える実力が有る人が共同研究を始める。現代の研究者に必要な能力の多くはコミュニケーション力。人のことを受け入れることができる力、人の思いを想像できる力。そういうものがないと務まらない現代の研究者。
どっぷり研究のことに浸かれる出張。研究者としてのおもしろさを堪能できる時間が流れている。業務に追われる日常でも工夫して研究のことに頭巡らせる時間を増やさなきゃ。って出張のたびに思うけど。
現在北欧に滞在中。とても素敵。一番素敵なのは、控えめな人が多いこと。国全体が裕福で余裕があるように感じる。ガツガツしていない。譲り合える。人の話を最後まで聞ける。日本人に似ている。とても心地いい人たちである。こんな国民性をもつ国があるとは知らなかった。声も大きくないし、講演の後は譲り合って質問しなかったり、質問しても攻撃的なものはなく、常に建設的。話する調子が穏やか。今回会った人だけの特性と思っていたけれど、他の人に聞くと、ここはみんなそんな感じなのだとか。日瑞の交流が密かに大事にされるのはそんな国民性に寄るのかな。ああ素敵。
このところ出張が相次でいる。出張には、緊張の時間が必ずあり、疲れてしまうけど、いい点がある。一人になれる時間がとれること。普段大学では、実験室の学生と横並びの机に座り仕事する。メールは頻繁にあるし、電話もあるし、学生から実験の相談があるし、教授から依頼仕事がくる。1時間とて何にも邪魔されず何かに集中できることはない。家に帰れば、3歳Rと1歳Mがまとわりつく。
人が一日で変わることはあり得ないのだけど、急に変わったように見えるときがある。学生が急に力をつけて、研究の議論についてこれるようになるときがある。何かポジティブな結果が得られて自信が出てきたとか、研究に興味がわくようになったとか、そういうきっかけでそうなることがある。ここのところのUくんがそうである。議論できるのである。小所帯の研究グループにとっては大きなことである。一つ悩んでいたデータの解釈がUくんから提案されて何とももっともらしいのである。驚いたし、うれしかったし。あいかわらず勉強はそんなにしていないけれど、研究のことをここのところ熟慮している節があることがうかがえる。急に変わったようにみえたが、そう、やはりここのところ彼なりにいろいろ考えている。家でも考えていることがうかがえる。そうなんよ、実験室を離れてるときも常に考えていることが、いい実験計画を作れたり、いい実験結果に出会えることにつながるんよ。何がいい方向にさせたか。実験結果が最近出てきていることが大きいのかな。実験に慣れてきて、余裕が出てきたのが大きいのか。彼に身近な一つ二つ上の先輩のがんばり方を伝えた(がんばり方に気づいた)のがよかったのか。このまま実力つけていってほしい。
書類書きの驚異的なスピードが欲しい。一気に9割方書き上げてしまう初期段階のスピード、仕上げるスピード。明日は来週、再来週の学会のポスター、パワーポイントを仕上げる。投稿論文の図、レジェンドを完成させる。企画展その1のストーリーを書き上げる。その間に電気工事、廃棄物品リストアップ、アルコール使用明細書。6月から実験できるように、計画通りにスピードを上げて書類書き。
再来週から海外渡航。豚インフルエンザ感染者が出ているヨーロッパの国へ行くので、大学からは自粛を求められている渡航。海外から帰ってきたら、大学への健康状態の電話報告と7日間の自宅待機。ほんとに7日間も大学に行けないのかな。休んでる余裕はないのですが。感染拡大防止は努めなければならないので、理解はしますが、感染可能性がとてもとても低いので、接触した人の健康状態と自分の健康状態が確かめられたら、勤務可能としてくれないのかな。ウイルスの潜伏期間がどうだ、とか言われると何も言えなくなるし、議論して勝てはしないですね。議論して理屈で制度変更できるなら、7日間の待機が5日間になるくらいですか。大学事務の人に間違って「この制度、何とかならないものか」と言ってしまったのですが、「きっちり守ってください」と諭されました。他の大学ではヨーロッパ渡航であれば、自宅軟禁が解除されたので、私の考えが特別なものとも思えません。こういうことにはとてもストレスを感じます。
他大学から大学院に入学希望の学生が初めて現れた。地道に学外活動してきたからなぁ。2年前から立ち上げた研究会の意義は自分にとってとても大きい。自分の居場所を作ったことにもなったし、純粋な研究の交流会になっているし、そこで知り合った学部生が大学院希望してくれるし。学部生が大学院の進学先を決めるのは大概は、印象が良かったとか、イメージがよかったとか、大学のネームブランドとか、そういうものが多いけど、とにかくうれしいや。いくつか調整しないといけないことがあるけど、何とかして、来春から一緒に実験できますように。
企画展の担当になってしまった。お願いされたのか。そか。教員歴が長くなってくるとこういう役回りが多くなってくる。WGで主役的に動かないとまったく動かないこの企画。今日の会議では、ニコニコしながら、本気で取り組もうと思い、積極的に発言した。まじめに考え、この専攻のこと、企画担当の部署のこと、さまざまな人の顔を思い浮かべながら。会議中にふとカラ元気な自分にハッとしたりはあった。もう一編の論文を気合い入れて書いている最中なのだが、この企画展関連のため、2日間筆が止まってしまっていることを思ったり、学生がいま進行させている実験の詳細を頭が巡ったりで、一瞬ハッとするのである。誰のための企画?、あの人の思惑一つで企画が立てられこちらはこんな気持ちになるん?、と一瞬ハッとするのである。という2時間の会議。楽しみます。次の休みの日は家族連れて、関連の資料館に行こっか。長距離ドライブになるけど。
シニアオーサーになったオリジナル論文を初めて投稿した。短い論文やけど、自分で見つけた感、自分が発見した感が大きい。研究に自由さが出てきていると自分で分析できる。いろんなしがらみが取れてきていて、それが自由さとして現れている。こういう意味では自信になってくる。小さい論文ではあるけれど、この積み重ねが大きな発見につながっていくので、こういうオリジナリティのあるものを継続して出していきたい。
軋轢の中で生きていくのに肝要。傷つけて傷つけられていつも思う。歳を重ねるごとに頑固さが見え隠れするのはなぜ。
一番力を入れてやっている研究。イギリス人と共同でやっていて、結果がネガティブだった旨のメールが今日届いた。始めて10年になる研究だけど、一向に結果が出ない。もうやめた方がいいと思う。30代後半の今、業績を積み重ねてポジションを得る準備をするときなのに、結果が出ない研究をずっとやっている。周りの同年代は、昇進していき、うまくやっているように見えるだけに、しんどい。
2年ぶりに日記再開。
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