2003年08月01日(金)
凄惨な光景を見た。
今朝、玄関前の踊り場とそれに続く階段を掃いていると、羽化の途中でまさに虫の息となっている蝉のなりそこないが、コンクリートに転がっていた。 蛹だった時の衣をまだ体の一部につけながら、成虫になりたての透き通る体を見せながら、コンクリートの上で喘いでいた。 長い月日を地中で暮らし、短い地上生活を謳歌するはずだった彼(彼女)は、どうして団地のコンクリート上、中途半端な格好で虫の息になっていたのか。 残酷な運命をただ受け入れるしかない彼(彼女)に群がり始める蟻たち。 掃除の手を止めて、じっと見つめる私。
死にかけの生き物に群がる蟻。 それを汗ばみながら見下ろす女。 なんだか今村昌平的世界。 今村昌平の映画で実際にこんな場面があったかどうかはわからない。 けれど今朝の光景は私の中では今村昌平的なのだ。 グロテスクの中に潜むエロティシズム、みたいな。 ちょっとだけ今村フィルムに出演気分、みたいな。
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