緊張と弛緩
波が来る。
そのたびに目を覚ます。

ほんの少しの変化にも、過敏に反応する。
小さな波なのに、大きな波を思い出す。
波が来ると、全身の筋肉が緊張する。
弛緩しないまま、浅い眠りに落ちる。
強張った筋肉は、次に備えて構えを解かない。

目が赤くなるだけで、涙は出ない。
君に見られた。

 泣かないの

この一言を、励ましと受け取ることができればいいのに。
泣いても無駄と我に返る。
怒りを含んだ冷たい声で叱咤され、筋肉はまた緊張し
心は沈んでいく。

先に帰る私に向かって、笑って見送ってくれた。
私もあんなふうに笑えればいいのに。
少し努力して、力の無い笑顔を返した。

彼からメールが来た。
私からの連絡を待っていた。
現状には触れず、はるか彼方の未来への希望を
考えられればいいねと書いてあった。
彼のように一足飛びに、前に行けたらいいのに。

感情を出せる相手を失った私は
能面のように無表情だ。
筋肉は緊張したまま、思考は弛緩している。

2004年10月28日(木)

ストレス
ネットに入るのは現実逃避。
現実の災いから目を逸らすため。

今も続く余震の中、現地の人は肌で感じながらも
それをテレビで確認せずにおられない。
鳴り止まないパトカーと消防車のサイレン。
余震が起こると、直後に騒音を巻き散らす報道ヘリ。
獲物を求めて舞い上がる。
テレビのインタビュアーが最低最悪なのは
前回の震災と同様だ。

ストレスが溜まる。
日頃、声を荒げない人が大声を出す。

 阪神淡路大震災。
 あのときよりは、よっぽどましじゃない?

そう簡単に言えるのは、テレビで見物してるだけだから。
被災地の人にとって、比較は慰めにならない。
ましだからどうだと言いたいのか?

現地の最低気温は、明日10度を下回るそうだ。
避難所になっている体育館の床は固く冷たい。


2004年10月27日(水)

辟易
近況を伝えるために、実家に電話した。
こちらの話を一通り聞いた後、大変な勢いで
自分のPCの不具合ぶりを話し出した。

いつも具合が悪くなるとお願いする「パソコン先生」が
母親についている。
そのたびに請求書を私に見せては、ヒステリックに叫ぶが
その料金には彼女のお相手代というか、宥め代が入って
いるはず。
私がその先生なら、もっと請求しているところだ。

確かに明細を見ると笑いが込み上げるほど
ボッタクられている。
だけど、自分で何もできないし文句は人一倍。
相手はそれが仕事であるので、仕方が無い。

なぜ、私が母親の相手を無料でしないか。
少しの間だけ、やってみて無意味な努力だと気づいたからだ。
私の言うことを聞かない。
言うとおりにしない。
英文科を出ているのに、英語の簡単なメッセージを
読まず、なんでもクリックする。
自分がしでかしたことを、私がしろと言ったと言いはる。

今回の彼女の訴えは、「パソコン先生」に初期化を
依頼したところ、買い換えたほうがいいと言われたこと。
彼女の言い分は「まだ5年しか経ってない」
パソコンは家電ではないと言っておいた。
彼女の

 ところで聞いて頂戴

が始まると、また何かやらかしたのかとワクワクするが
話の途中で、聞くんじゃなかったとゲンナリした。
母親はワクチンソフトとウィルスについても、意味不明な
解説をしてくれた。

 ウィルスとスパムを足して、10倍にしたのがあなただよ

と言いかけて、思い止まった。

「パソコン先生」に嫌気が指した母親は、従妹の結婚相手が
パソコンで仕事を始めたと知った。
彼が次のターゲットのようだ。
彼の検討を祈りたい。

2004年10月26日(火)

大地震
あの震災を思い出した。
道路のいたるところに亀裂。
自衛隊の救援、報道ヘリ、炊き出し。
テレビで観た光景。

余震が延々と続く。
見渡す限り真っ暗で、車のヘッドライトだけが目にする光。
信号機も停電で点灯しない中、事故のニュースがないのがいい。

あのNHKの伝言メッセージ
「連絡してください、心配しています」
現地の状況がわからず心配なのはわかるけど
あの放送はあまり意味がない。
停電しているのに、テレビは観られない。
自分の名前が流れているその瞬間、ラジオを聞いているなんて
タイミングはあまりないと思う。

連絡手段はあまりない。
固定も携帯も電話は、なかなか繋がらない。
停電だから携帯電話は充電が切れたら、次は充電できない。
水道も給湯器も全部通電しないとだめ。

テレビで速報を追う。
身体より気持ちが疲れた。







2004年10月25日(月)

摩訶不思議な男性
ある掲示板の書き込みを読んでいた。
50代間近の男性が、大活躍しておられる。
数年前に掲示板デビューされたらしい。
サイトをお持ちなので拝見した。
ふだんはスピーカーのスイッチをオフにしているが
敢えて挑戦した。
キョーレツだった。
多くを語ると、どこからか嗅ぎつけて
訪問されてしまうらしい。
その臭覚というか、卓越した検索能力に脱帽する。
私もその才能が欲しい。

自ら郵便番号まで明記した住所を、連続で書き込まれていた。
不思議なパワーだ。
連続コピーペーストを拝見しているだけで
腱鞘炎になりそうだが、「すくりぷと」なる技術を
習得されているそうだ。
40代半ばでサイトを立ち上げ、今では各方面?で感動を
与える技術を習得されている。
見習いたい。

それにしても、そんなところから雑学を仕入れては
仕事に生かす私。
正統なお勉強より、記憶に残る割合が高いとは・・・

マジメな君に話すと、大笑いされた。
だけど、マジメな顔をして、その男性のライフスタイルに
建設的なコメントをする。
おもしろがってばかりの私と大違いだ。

拝見している間、なぜか胃痛がなくなる。
やはり人生には、笑いが必要ということだと思う。


2004年10月23日(土)

お兄さん
メールが届いた。
数年前からの友人。
台風の被害の心配をしてくれていた。
彼の名を、仮に和幸さんとする。

和幸さんには複数の妹さんがいて、彼女たちが
結婚や出産をするたびに、写真を送ってくれる。
和幸さん自身は独身だ。

妹さんたちから、いつも服装のセンスが悪いと言われ
るが、本人は何故だかわからない。
彼は
 俺、いつも清潔な服を着てますよ。
 それなのに・・・
と、トンチンカンなことを言った。
清潔さとセンスのよさは、別問題だからと言っても
彼は納得しない。

彼に一度だけプロポーズされたことがある。
それが元で私たちは大ゲンカになった。
家を継ぐために結婚しなければならない彼と
家制度などくだらないと言い切る私。

だけど和幸さんにはとてもお世話になった。
私を妹さんたちと同じように心配し
一人暮らしを始める時、事細かにアドバイスを貰った。
2階以上の部屋を借りなさい。
ベランダには、男物の下着を干しなさい。
表札にも男性名を入れなさい。
玄関の覗き窓のレンズを逆向きに取り付けなさい。
妹の一人というより、娘を心配する父親みたいだ。

食欲がないと言うと、お米やすぐに食べられる
菓子類を送ってくれた。
引っ越すたびに、必ず住所と電話番号を教えてください
と言われ、必ず伝えた。

そんなオヤジのような和幸さんは
実は、私より8歳年下だ。
だけど、私はふざけて「お兄さん」と呼んでいる。


2004年10月21日(木)

彼からの
深夜零時過ぎ、彼からグリーティングカードが届く。
この瞬間を待ちわびていた1日だった。
届いたら?
届かなかったら?

届かなくても彼の意志が、届いても彼の意志が
そこにあるように考えていた。

PCの前に彼はいる。
今この瞬間、彼はいる。
存在をひしひしと感じながら、私は時間が流れるのを待った。
1時間後、お礼を書いた。
思わず近況を知らせたくなる。
どうしているのか問いたくなる。
何度も手を止めて、書いたものを消した。

 今年は覚えていてくれたんだね。
 本当に嬉しいです。
 どうもありがとう。
 
声を聞きたいと痛烈に思った。
携帯電話を握り締めた。
私は彼を忘れられない。
たった数行に言葉にできない思いを篭めた。
彼の顔を浮かべながら眠りについた。








2004年10月20日(水)

一人でいたい日
きっと、あの子と久しぶりに話したからだ。
何も浮かばない。
ニュースもドラマも観る。
本も読む。
なのに、何も浮かばない。

会社でもほとんどしゃべらなかった。
何を言っていいかわからない。
君に話しかけるのに、途中で尻切れトンボになる。
何を言いたかったのか、わからなくなる。

ぼーっとしたまま時間が過ぎていく。
なのに何度も時計を見てしまう。
今日は早く一人になりたかった。






2004年10月19日(火)

長電話
君からだと思って電話に出た。

 俺 俺

久しぶりに聞いた声。

 手紙の返事を何度も書きかけたけど、忘れてしまって

書くのは照れ臭かったんだろう。
様子が電話越しに伝わってくる。
1時間以上話した。
バイトの様子、決まった進路のこと。
嬉しかった。
屈託なく話してくれて嬉しかった。




2004年10月18日(月)

ピンクは苦手
 今日はお洒落してるね

いつもと違う服装をしていると、君は嬉しそうに笑う。
デニムやラフな格好でもいいし、化粧をしなくてもいい。
そう言うから普段は全くかまわない。
だけど、目先を変えて気分を変えたいときがある。
すると、すぐに気づいてくれる。

ただ、ピンク色が好きなようで困る。
ベージュのネイルエナメルをしたときも、
爪きれいにしてるね、でもピンクのほうがいいなと言った。

君が女性に求めるのは可愛らしさ。
中身も外見も。

昔、ブラウスをプレゼントしてくれた男性がいた。
毎日、私がどんな服を着ていたのか見ていたのに。
箱を開けるとフリフリのブラウスが出てきた。
 
 これを私にどうしろと・・・

手にして呆気に取られた。

フリフリもフワフワもパステルカラーも私のキャラじゃない。
だけど男性は女性に柔らかで優しげなものを求めるみたい。



2004年10月17日(日)

初日 最新

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