行き着く先は
私も一緒に行く
行ってどうするの?
行ったら……新幹線に乗れる……
泊まるところ、ないでしょ?
ビジネスホテルに泊まる
留守にしてる間、ちゃんと出てきてね
できない 一人でここにいられない
みんないるから ここのほうが安心でしょう?
いやだ 部屋にいたい
君は行ってしまった。
昨夜遅くまで調べたことを、君は確かめに行った。
私にも調べるように言っていた。
知り合いに尋ねるというと、イヤな顔をした。
ネットで調べたことにすればいい。
彼が協力してくれると言った時、こう言ったのを思い出した。
部屋に戻って、すぐにヤマにメール。
県民生活は充分満喫したので、今度は都民になります。
あっという間に返事が来た。
4つほど教えてくれた。
どれもこれも目の保養になった。
でも現実的じゃない。
ヤマは、私を笑わそうと
これからは、ちょくちょくデートできるねー。
イイぞ!
と書いてくれた。
デートはさておき、また少し明るくなれた。
ハイテンションメールを書けるようになったのは
彼のおかげ。
おはようのメールを送ってくれた。
君は、今日も
変だよ、静か過ぎるよ
と、言ったけど、普通の声がまだ出せないんだよ。
ほんの少し、頭が動くようになって
ほんの少し、仕事することができた。
本当は昨日、胃薬と一緒に処方されたもう一つの
薬を探した。
出された時は、そんなものを飲まなければいけない
自分がイヤで、反対に神経が昂ぶり、腸炎を起こした。
2日だけ飲んで、ゴミ箱に捨てたんだった。
だけど、捨てたことを忘れて
飲んで楽になるならと探した。
胃薬だけで爆睡できた私には、不要だったけど。
本当は、彼のところに戻りたいと言いかけた。
それを捻じ曲げて、聞こえのいいように帰りたいと言った。
まだ帰りたいの?
不安そうに君は聞いた。
前は8ヵ月後に帰ったから。
伯母の法要もあるし。
一時帰省ってことか。
そういうことね。。
修復不能な本音を漏らすことは、狡い私にはできない。
2004年11月09日(火)
彼との時間
名前だけ書いたメールを送った。
すぐの返事を期待せず、携帯の電源を落として眠った。
硬直するようになった身体は、震えが来るようになった。
ガタガタ震えて、涙が出てくる。
悲しいから、嬉しいから泣くことはあっても
こんなふうに涙が止まらないのは初めてだ。
机にしがみついて、震えながら声が出ない。
また耐えられなくなって吐いた。
胃薬を久しぶりに飲んだ。
自分で調節しながら、徐々に減らしていけばいいと
言われていた。
元々、薬嫌いの私はすぐに飲まなくなっていた。
飲んで眠るつもりで、部屋に帰った。
パソコンに来ていた彼からのメールに返事する。
ごめんなさい ごめんなさい
他に何も浮かばない。
勝手な私は、メールの受信音に飛び上がりたくなくて
電源を切った携帯を握り締め眠った。
2時間ほどで目が覚めた。
すぐに電源を入れる。
数往復のメールをやり取りし、彼から電話をしようかと
言われた。
君に電話を入れた。
今日は来ないでほしいと。
突然、鍵を開けて入って来る音に飛び上がってしまうからと。
もう、眠りたいからと。
彼の声は優しかった。
素っ気無くもなく、投げやりな話し方でもなかった。
まともに話せなくなった。
言葉がすぐに出てこない。
最初は浮かんだ言葉を並べていた。
彼はあの日、私の名前を探したそうだ。
そして、今の状態をわからないながら
優しい言葉ばかりをくれた。
君が優しくないわけじゃない。
何度も大丈夫?と聞いてくれる。
なのに返事できないのは、目の前の私を見ながら
そんなことを聞かないとわからないのという反抗心。
彼と話しているうちに、仕事のことになった。
それなら俺の専門分野だから、よかったら協力するよ。
彼の専門だと前からわかっていたけど
こう言ってくれるのがわかっていたから、言えなかった。
君に説明するのに時間がかかることも
こんな場合は、彼ならすぐに答えてくれる。
話しているとだんだん落ち着いてきて
言葉が出るようになって、いつのまにか笑っていた。
今度そっちに仕事があったら行くから。
彼は遠回しに再会を仄めかし、私も笑って頷いた。
ありがとう ありがとう
久しぶりに笑ったよ
こんなのでよかったら、毎朝おはようのメールを
送ってあげる。
ありがとう ごめんなさい
小さな声しか出せなかったけれど
ありがとうとごめんなさいを繰り返した。
突然、私が悲鳴を上げる。
どんなに怖いのか、伝わってきたよ
今、リアルで共有した。
欲しかった言葉を全てくれた。
君が何度も大丈夫と言ってくれるのに。
私は君の言葉を信じない。
疲れてるから休んでいていいよ。
君は気遣ってくれるのに、受け入れられない。
もし、彼が目の前にいたら、君と同じように言うはずなのに。
私はおかしい。
だけど、彼からの言葉で落ち着いた。
厚かましい女だと思う。
図々しい女だと思う。
だけど、少し安心した。
2004年11月08日(月)
お願いだから
彼氏とうまくいってる?
答えられない。
答えたくない。
どうしてそんなことを聞くの?
うまくいってると答えれば、安心する?傷つく?
うまくいってないと答えれば、悲しい?それとも安心する?
私は聞きたくない。
彼がどうしてるのかだけ聞きたい。
君が言う。
愛してる、わかってるの?
まるでわかってほしいと言ってるように聞こえた。
そして、私は返事できない。
名前を何度も呼んで、愛してると繰り返したことが
甦ってくる。
彼に電話しようと思った。
素っ気無い感情のこもらない話し方を聞けば
私の中で膨らんだ、美化された彼が消えてくれるかもしれない。
だけど、できなかった。
彼に電話して、話を聞いてもらっても
彼には理解できない。
君に訴えてもわからないことなのに。
テレビを見ていて、突然鳴る効果音に飛び上がる。
鼓動が早くなる。
一人で堪えて、飛び跳ねた心臓が静まるのを待つ。
車のバックファイアの音に飛び上がる。
早くなった鼓動が治まらない。
胸を抑えて、静まるのをじっと待つ。
私をここから連れ出してほしい。
私を迎えに来てほしい。
もう怖くないから、大丈夫だから安心して
と、言ってほしい。
何もかも忘れてしまいたい。
嫌悪も恐怖も孤独も不安も、なかったことにしたい。
ねぇ、お願いだから、返事して。
2004年11月07日(日)
無気力
友達と話していて「傾倒」「心酔」の言葉が浮かんだ。
彼女の話す人物について、私が知らないのが不思議らしい。
ネットで調べたらすぐにわかるからと言われたが
聞いたばかりの名前は覚えていない。
東洋医学と西洋医学の違いについて始まった話だった。
元気で明るく話す様子は嬉しかったが
彼女の話題に、ついていけなかった。
何かを無心に信じられることが良いことなのか
悪いことなのかわからないけれど、彼女自身には
プラスになっているようだ。
何かを誰かを、一点の曇りも無く信じる心。
私には欠けている。
生き方の違い、経験したことの違いから生じる落差。
活き活きと話す彼女に、思考がついていかず
曖昧な相槌しか打てなかった。
何より情けなかったのは、言葉が浮かばず
声が出なかったこと。
最近、ここに何かを書いても支離滅裂だし
話すと失語症みたいだ。
細切れの単語しか浮かばなくなった。
君は、東京に行こう。
行けるように二人で頑張ろうと言う。
私は、頑張ってねと返事する。
今の状態はよくないけれど
現状を打破する気力もモチベーションも沸いてこない。
2004年11月06日(土)
懐かしい声
幼い頃から、お世話になっている人から電話があった。
孫がラグビーの名門校に進学したと、とても喜んでいた。
この子は、生まれたときから知っている。
小さい頃からとても綺麗な子で、物静かでおとなしく
子供モデルをしていた。
そんな子が、ある武道の全国大会で優勝した時は驚いた。
そして今度はラグビー。
明るい話題を聞いて、気持ちが和んだ。
そして小母さんは、私を心配してくれていた。
また、帰りたくなってきた。
会いたい人が多く暮らす場所。
もう少し、落ち着いたら帰りたい。
今度帰る時は、みんなに会いたい。
*** *** *** ***
君は空回りしているみたいだ。
同じ場所で仕事をしていると、いい面も悪い面も
見てしまう。
私は優しい言葉をかけるより先に
どこがいけないかを指摘してしまう。
言った後、言わなければよかったと思い
もっと言い方があるだろうと思う。
なのにすぐにできない。
私も空回りしている。
2004年11月05日(金)
欲するもの
逢いたい 逢いたい 逢いたい
恋しい 恋しい 恋しい
衝動的に飛び出したくなる
誰が恋しいのかわからない
自分の中で作り上げた存在
現実には無いものを求める
悪意と善意がごちゃまぜになる
外の世界も内の世界も
私は何が欲しいのかわからない
2004年11月04日(木)
ちぐはぐ
携帯電話は無料か、限りなく無料に近いものを探すのに
それに付けるストラップは、エルメス。
食糧は近所の激安セルフスーパーで購入するのに
出来上がった料理を盛り付けるのは、ロイヤルコペン。
ランジェリーと呼びたくないほど素っ気無い下着は
通販で大量買いするのに、ジャケットはアルマーニ。
テーブルに飾る花は造花なのに、その横にあるのは
ガレのランプ。
腕時計の話になると、貴女は自分のカルティエの
修理代の話をしだしたね。
困ったことがあったらなんでも言ってねと
言いながら、延々と自分の困ってる話をしだしたね。
ちぐはぐな生活。
ほんと、貴女はちぐはぐな人だ。
私は困ってても、貴女には何も求めないよ。
一つお願いするなら。
私からかけた電話で、長話をするのは止めて。
根っからのお嬢様だから、憎めない人だけど
疲れている私に、弁護士の悪口や、ゴルフ場での
人間関係を披露されても、癒しにならないから。
2004年11月02日(火)
効果があるのは
コーヒー豆が届いていた。
いつもどれを飲んでたっけ?
モカだよ
私はモカが好き。
その次は、苦味の多いキリマンジャロ。
ブルマンは酸味が強くて苦手。
いつものと違うのにしようよ
それでもいいよ
君が何を注文するか興味があった。
だから届くまで、何を頼んだか聞かなかった。
デスクに置いておくからね
デスクにあったのは、キリマンだった。
嬉しかった。
台無しになったバースディディナーの代わりかな。
あの日、前菜とワインで終わってしまったけど
また予約するからねと言ってくれた。
少しづつ落ち着いてきた。
だけど思考力低下、注意力散漫。
仕事中、終えた作業を覚えていない。
きちんと話してるつもりが、支離滅裂。
少しでも動揺すると、デスクにしがみついてしまう。
以前目にした光景が重なる。
もう少し時間がかかるかもしれない。
不安感はありますか?
眠れますか?
問われると、どうなのかわからない。
様子を見て、生検しましょう。
薬はいりますか?
薬は嫌いだと答えた。
処方薬より、君から貰ったコーヒー豆のほうが私は嬉しい。
2004年11月01日(月)
岐路
彼から電話があった。
前回のように、ケンカになるなら話したくないと
先にメールで返事した。
懐かしい声だった。
風邪を引いて鼻声だったけど、彼の声だった。
彼は会社を辞めるそうだ。
新しい道を歩き出そうとしている。
終わった恋を振り返ってみる。
曲がりくねった、今までの人生を振り返ってみる。
彼と知り合ったことで、私は変わった。
私自身も、周囲の環境も。
私がいなくなったことで、彼は変わろうとしてるのかも
しれない。
2004年10月31日(日)
いつも傍観者
吐き出すことで、あの人は癒されていない。
2年前に、私が書いた。
それは違うと気づいた。
吐き出すこと、書き殴ることで増幅される。
憎しみ、怒り、嫉妬、辛さ、苦しさ。
マイナスの気持ちは、よりマイナス方向へ加速する。
楽しかったこと、嬉しかったこと。
書いて、言って、確認することで喜びは倍増する。
プラスの気持ちは、いっそうプラス方向へ。
吐き出した後、すっきりできる性質なら救われる。
一つ吐き出した後、次々に忘れていた小さな憎しみを
思い出し始めたら、止まらなくなる。
マイナス方向へ、急速に。
外に向かって、吐き出しているはずが
内に向かって、山積にされていく。
いつか、溜め切れなくなって決壊するよ。
自滅するのは、誰も傷つかないからいい。
だけど刃を外に向けると、自他共に修復できなくなるよ。
寸前で思い止まれればいいね。
一歩手前で、バランスを取り戻せればいいね。
私は私で手一杯。
だから、黙って見ているよ。
*** *** *** *** ***
この一週間ずっと一緒に行動した。
いつも傍にいた。
寄り添って眠った。
車で送り迎えしてくれた。
ここを出る時は連れて行くと言われた。
現実的な君は、仕事を優先した。
崩れそうになりながら、耐えていた。
愚痴を何度も言う私を励ました。
勝手に決め付けるなと、また言われそうだけど
君は冷たい人だね。
そう感じた、一週間だった。
誰からも電話がないと嘆いたね。
私には、次々に電話があるのを驚いたね。
私は熱があることも、吐き気が止まらないことも
すぐに言わなくなった。
早く治してね
早く元気になってね
早く、早く、早く
無理なこと言わないで。
できるなら、とっくにやってるから。
入院するなら、帰って、馴染みの病院でする。
帰って来いと、親が言った。
そして、親の所にいる自分を想像して吐き気が増した。
帰りたいのは親の家じゃない。
親のいない、あの場所になら帰りたい。
ここの人は、暖かいね。
親切で純朴で、穏やかで我慢強い。
だけど、私は誰とも接してないから。
その思いやりも、優しさも、離れた位置で見ているだけ。
でも、とても好きになった。
2004年10月30日(土)
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