いつかのように
以前と同じようにメールのやり取り。
深刻なことは書かず、年末年始の予定や
会ったらどうするか。
そんなことを冗談交じりに書いていく。

ほぼ30分おきにメールを受信する。
  どこか行きたいところある?
  ないなら、ホテルに直行するよ。
(笑)や顔文字入りで、どこまでが本音か
お互いわからない。

特定の場所は浮かばない。
だけど、果たせなかった以前の約束を思い出した。
  星空が見たい。
  ドライブしたい。
彼が何度も言っていた満天の星を見てみたい。



 

2004年12月02日(木)

疲れ
久しぶりの肉体労働でヘトヘト。
身体は埃っぽいし、帰りは雨。

彼はストラップを外せないと言っていた。
私も一度捨てたのに、また引き出しに。
彼に言ったら笑ってた。

こうやってまた日記を書いていることも話した。
だけど探さないでほしいと頼んだ。
もう嘘やごまかしをしたくない。

明日の午後、君は一足先に行ってしまう。
私は当分の間、本当に一人っきりになる。
いい機会かもしれない。

2004年12月01日(水)

間違えたまま
君がデスクの中を整理していた。
引出しの中の雑多なものを見ていると、
たった一人で、真夜中まで仕事をしていた君の
数年間の姿が浮かんだ。
話し相手も、グチを言う同僚もおらず
たった一人で仕事をしている様子が浮かんだ。
君は独り言が少なくなった。
最初聞いたときは驚いたけど
一人呟きながら、深夜まで仕事をしてたんだ。

彼からメールの返事が来た。
とても素っ気無い。
これでいいのかもしれないと思ったり
この素っ気無さは、わざとらしいと思ったり。

激しさのない穏やかな関係を望んで手に入れた。
蜜月はなく、生活と仕事に追われる毎日。

私が恋しいのは、未だに彼だ。
未練を断ち切れなくて、いつまでも追いかけて
いるのは私のほうだ。
断ち切って欲しいと願って、そのとおりになった。

君には軽口をきく。
私の話に大笑いする。

ふとした瞬間
私はどこに行くんだろうと言ってしまう。
もうどこにも行きたくないと言ってしまう。

君は聞こえなかった振りをしたのか
なんて言ったの?と聞き返す。
なんでもない、何も言ってない
私は彼が恋しい。

君がたった一人でやってきたことに対して
感傷的になる。
だけど、恋情からではない。

私は間違ったまま、君と行く。

2004年11月30日(火)

また明日
一気に冬が来たみたいだ。
PCにむかったまま、じっとしている私は寒気がする。
会社中を動き回って、梱包している君は汗ばんでいる。
暖房を止めると、冷気が足元から這い上がってきた。

移転前にしておかなければいけない仕事を
途中までして、保存。
もう1枚のファイルを操作していると、
陰に隠れていた保存したばかりのファイルに異変。
真っ白になった。
消えた瞬間、脱力。

気分転換と身体を温めるため、梱包を手伝う。
消えた2時間は、また明日。
君はいい人だね。
私がミスをしても叱らない。
保存したのに消えたのは納得いかないけど
消えたものはしょうがない。
あまりの寒気に、怒る気力も出なかった。
いつもなら八つ当たりしてるのに。


2004年11月29日(月)

停滞
台風の時のような暴風。
毎日必ず雨が降る。

今回の部屋探しは、今まで以上に手強い。
自分で直接見に行けないし、家賃の上限を
可能な限り上げても、見つからない。

先の見えない人生は、私だけではないけれど
1年単位で生きてこられず、この数年は月単位でも
考えなくなった。
刹那で生きていくなら、せめて部屋くらい
まともなところを選びたい。




2004年11月27日(土)

現実
彼のしたことは、責められない。
私を少しでも落ち着かせようとした、彼なりの精一杯。
過大な期待を抱く、悪い癖がまだ残っていた私のほうが
悪い。

 全部、欲しかった。

 全部、あげたよ

 違うよ、半分だけだよ

 ううん、全部あげてたよ


  ようのために何もかも捨てようと思ったのに。

  いつも、思うだけだったね。

  そうだね、実行できなかった。

決意することと、その決意を実行することは
大きな隔たりがある。

  ほんの好奇心だけど、聞いていい?

  やめたほうがいい。

この答えがすべてを語っていた。
だけど、あえて確かめた。
思ったとおりだった。

  いつもいつも周囲に負けてしまうね

  そうだね…


彼だけを一方的に非難できない。
私を迎えに行こうとしたのに、拒否した。
未練を断ち切って欲しいと伝えた。
歯車が噛み合わないままだった。 

俺たちはどちらかが近づこうとすると
必ずうまくいかなくなる。
だから、少し離れたところにいたほうがうまくいく。

彼の言う全部は、私の望んだ全部ではなかった。
だけど、彼にとっては全部だった。
このずれが、どんどん広がっていった。

私も彼も、大きく包み込んでくれる
大きな翼が欲しい。
同じものを欲するから、お互いの翼になりえない。

順調に進んでいると思ったのに、
彼の実際は、停滞している。
私たちは似たもの同士だ。

2004年11月25日(木)

衝動
会社に行って、昨夜彼に書いたメールの返事を待っていた。
読んだ瞬間に、私は会社を飛び出した。
君は外出中で、私はヤケを起こしてた。
どうにでもなれ、もうどうでもいい。

クローゼットを開けて、やみくもに服をゴミ袋に突っ込んだ。
何もいらない、もう何も持たない
整理しておしまいにしよう
何もかもおしまいにしよう
急に力が抜けて、へたりこんでしまった。

自分がやってることは理不尽でくだらないことで
それでもどうしようもなく
胎児のように身体を丸め 床に横になった。

最後に声を聞こう
彼に電話した。
何もない 空っぽで何もない
訳のわからない私の話を聞いてくれた。

もうね、疲れちゃった。
どこにも行きたくないし 何もしたくないし
なにもほしくない

彼の昼休みを台無しにしたのに、
とにかく夜電話するからそれまで待っててと言われた。

君からの電話が何度も鳴る。
私は君に会いたくない。
固定電話、携帯電話、交互に鳴り続けた。

玄関にチェーンをかけて、布団をかぶって
いつのまにか眠ってしまった。

インターフォンが執拗に鳴る。
君はさすがにチェーンをはずせない。
フラフラとベッドを抜け出し、玄関に行った。

汗ばんだ掌で、私の手を包み込み
一体どうしたんだとまくしたてる。

疲れた、疲れた、もういい

全然訳がわからない
どうしたの?

ゆっくり話をした。

あのね、いないとダメなんだ。
何もしなくていいから
横にいてくれるだけでいいんだ。
だから、そんなこと言わないで。

君はまた東京に行ってしまった。
彼から電話がかかってきた。

私はまだ混乱したままだけど、もう少しだけ
歩くことにした。


2004年11月24日(水)

愛しいストーカー
愛してるよ 今も ずっと愛してる
 だから ね 言って
 言わないの?
 言えるでしょう?

 何?

 言うの 待ってるんだけど

 なんて?

 はい 言って


声に出して 
名前を呼んで 何度も 何度も 
繰り返した頃

幻を見た
私を探しに来たと思った

 そう ずっと探してた
 だから それは 俺だよ

あのとき 探しに行った時も
あの改札で 顔が見えたよ
だから いつもみたいに 笑った
 
私を見つけたら 笑ってと
頼んだことがあった
それを 忘れずにいてくれた

バラバラ 涙が 出てきた
ボロボロ 涙が 零れた

  私を忘れないでほしい

  忘れなくていいの?

会いに行く 会いに来て 

  待ってるのに

  何?

  だから 言って 早く

  愛してる 愛してる 愛してる


 ねぇ?私の日記 持ってる?

 うん 持ってる 最初の日からの 全部持ってるよ
 俺は ようのストーカーだから

 あはは 最高のストーカーだね

 最高なの?
 
 うん 最高   


***  ***  ***  ***

あなたのおかげだと思います。
手を合わせ 黙祷しました。
この数日 あなたを感じました。

2004年11月23日(火)

過敏
昨夜眠りかけた頃、ふと感じるものがあって
目が覚めた。
その直後、突き上げるような波が来た。

開けたくなかった目を無理に開けて、暗闇を凝視した。
だれかいる だれもいない 会いにきてくれたの
そんなことはない

過敏になると、いつも感じないモノを感じる。
悲しい 悲しい 悲しい と呆けたように
呟き続けたせいかもしれない。

ヤマにメールを出した。
最初はオチャラケてテンション高く書いていたのに
気が緩んだ。
今の私は、本当はこうなんだよと、書きたくなった。
で、ダラダラ書いた。

親に移動することを電話した。
 オマエは行く先々で、ろくな目にあわないな・・・
 でも今はどん底だから、これからはよくなるぞ。
 
私は、どん底にいたらしい。
知らなかった。

どん底だと自分が思っても、まだ本当の底は見えてない。
思わなくなって感じなくなった時が、本物かもしれない。
だから、まだ大丈夫だ。

あの目覚めの瞬間も、恐怖は無かった。
過敏になった時の症状だと知っている。


 

2004年11月22日(月)

悲しい
ある男性が亡くなっていた。
私が「嘘」について、ちょうど1年前に別の場所で書いた時
コメントをくれたSさん。
私は彼に嘘をつき、Sさんは付き合っていた女性から
嘘をつかれ続けていた、正反対の立場だった。
それなのに、Sさんは私に礼儀正しいコメントをくれた。
スポーツマンで海を愛していた様子が、Sさんの日記の
あちこちにあった。

私が「嘘」について書いた頃、ちょうど退院直後だった
ようだ。
Sさんの日記を最初から全部読んで、どんな気持ちで
私の日記に感想を書いてくれたのかと、考え込んだ。

1年前の一途さや、真摯な気持ちが薄れ、
元々猜疑心の塊だった私に、最近では拍車がかかっている。
だから、近親者だと名乗る人の最期の知らせを読んで
私は簡単に信じられなかった。

ネット上には、日記風の私小説や釣りのサイトがあること。
違法サイトだけでなく、愉快犯的なサイトがある。
そんなことをあれこれ考えて、Sさんの死を
受け入れられなかった。

だけど、Sさんが途切れ途切れに書いていたものは
作り話だと思わない。
何年もの間、Sさんと婚約しながら、既婚男性と
隠れて付き合い、別れたと言っては、嘘を重ねた彼女。
Sさんを精神的に殺した。
嘘をつくなら墓場まで持っていけ。
自分が苦しいからといって、ついた嘘をバラすな。

きっといいことあるよ
自分に言い聞かせ、なんとか現実の世界に戻ろうとする。
そして、また狂気の世界へ戻る。
Sさんは死を望み続けた。
自殺未遂を繰り返し、そのたびに監視の目がきつくなった。

Sさんは遂に逝ってしまった。

悲しい
日記を閉じたあと、何度も呟いた。
何が悲しいのかわからない。
涙は出ない。
Sさんの望みが叶ったのに、悲しかった。

数年前のクリスマスイブに、無理心中をして
自分だけ逝ってしまった友人を思い出した。
彼女の死に顔が目に焼き付いて離れない。
安らかな死に顔ではなかった。
10年前、狂気の宿った目で私を覗き込み
数時間後に車に飛び込んだ知り合いの目が甦る。

生は悲しい 死もまた悲しい。



2004年11月21日(日)

初日 最新

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